2019年のGDP成長率はマイナス0.1%、10年ぶりのマイナス成長に

(メキシコ)

メキシコ発

2020年02月04日

メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)は1月30日、2019年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率の速報値を発表した。前年同期比でマイナス0.3%、前期比(季節調整済み)で0.0%(ゼロ成長)だった。2019年通年ではマイナス0.1%となり、2009年以来10年ぶりのマイナス成長になった。通年の内訳をみると、鉱工業が1.7%減、農林水産業は1.9%増、サービス業は0.5%増だった。なお、確定値は2月25日に発表される。

マイナス成長の主な要因は、投資の減少にある。2019年1~9月期の総固定資本形成は、前年同期比で4.8%減少した。同期間のGDP全体(成長率0.0%)への寄与度はマイナス1.0ポイントと、最大の押し下げ要因になった。

投資の減退は、資本財の輸入が減少していることからも見て取れる。原材料や工場の機械設備などを含む資本財の輸入額(2019年)は、前年比で8.9%減と大きく減少した(表参照)。

表 輸入品目の内訳(過去10年)

足元の景気低迷を受け、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領は1月29日、自身のツイッターで、「健全な財政、強いペソ、低いインフレ率、外国直接投資(の増加)、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)といった、経済成長に有利な条件はそろっている」と記し、経済成長の加速に向け、アルフォンソ・ロモ大統領府長官を長とした経済成長・投資促進本部を設立したことを発表した。同促進本部は大蔵公債省や経済省、通信・運輸省、環境天然資源省、エネルギー省の代表で組織され、投資を実施する際に必要な行政手続きの簡素化に取り組むことで投資を呼び込み、雇用の創出と経済成長の加速を目指す。同本部では、2019年11月26日に発表された「民間部門インフラ投資国家合意」(2019年12月2日記事参照)のプロジェクト管理も行う。また、2月中旬にエネルギーインフラ計画が発表される予定だが、ロモ大統領府長官は、各プロジェクトの具体化を進めている状況で、「これから3週間以内には、エネルギー分野の全プロジェクト案を公表できる予定だ。各民間企業から既に提案書を受け取っており、プロジェクト数は137、投資総額は9,000万ドルに達するが、その全てを実施するわけではない。専門チームにおいて提案書を精査し、重点プロジェクトを選定した上で、2月末に実施計画を発表する」とコメントした(「エル・エコノミスタ」紙1月30日)。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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