通商環境の変化でマイナスの影響を受ける企業は2割に、2019年度カナダ進出日系企業実態調査

(カナダ)

米州課

2020年02月07日

ジェトロが2月6日に発表した「2019年度カナダ進出日系企業実態調査」(2020年2月7日記事参照)によると、追加関税など通商環境の変化について、「マイナスの影響がある」と回答した在カナダ日系企業は約2割に上った(添付資料参照)。マイナスの影響が及ぶ主な対象は、「調達・輸入コスト」が53.3%、「国内(カナダ市場での)売り上げ」が33.3%、「生産コスト」が20.0%だった。

具体的に影響を受ける政策としては、「米国の鉄鋼・アルミニウムを対象とした追加関税賦課(通商拡大法232条)」(注)が57.7%で最も多く、「米国の追加関税に対するカナダの報復関税」が34.6%で続き、米中間の追加関税応酬よりも、米・カナダ間の追加関税の掛け合いの影響が大きい。

従業員の賃金がコスト上昇要因の筆頭要因に

調査結果によると、在カナダ日系企業の経営上の課題(コスト上昇要因)については、「賃金(給与・賞与)」が60.9%と前年(54.9%)から6.0ポイント増えて筆頭要因になり、「労働者(一般社員、技術者)の確保」が53.6%と続いた。カナダでは、失業率が低水準で推移(2018年9月以来5%台を維持)しており、日系企業にとっても人材確保が難しい状況が続いている。

原材料・部品の調達先については、カナダ(調達率31.5%)、米国(23.2%)、メキシコ(1.4%)を合わせた北米自由貿易協定(NAFTA)域内からの調達は56.1%と前年(66.1%)から減少した一方、アジアからの調達が増加した。特に日本からは22.6%と前年(18.0%)から4.6ポイント増加した。このほか、中国が8.2%、ASEANが4.4%、韓国・香港・台湾が4.3%となり、いずれも前年から増加した。

(注)米国は通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウムへの追加関税をカナダに対しては2018年6月1日から2019年5月19日まで課し、カナダは米国への報復関税を2018年7月1日から2019年5月19日まで課していた(2019年5月21日記事参照)。

(甲斐野裕之)

(カナダ)

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