米FRB、金融政策の現状維持を決定、当面は現状維持の可能性示唆

(米国)

ニューヨーク発

2019年12月16日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は12月10、11日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、金融政策の現状維持を決定した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(図1参照)。7月以降の3会合連続で利下げを決定(2019年8月2日記事9月24日記事11月1日記事参照)してきたが、今回はフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を1.50~1.75%に据え置いた。今回の決定は全会一致だった。

図1 政策金利(FFレート)の誘導目標の推移

「経済見通しに関する不確実性は残っている」との記述を削除

FOMCの声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、米国経済全般の判断について、労働市場は依然として力強く、経済活動は「緩やかなペースで拡大してきた」とし、前回10月の判断を維持した。金融政策の判断について、委員会は「経済活動の持続的拡大、力強い労働市場の状態、対照的な2%の物価目標近くでのインフレ率の推移を支えるのに、現在の金融政策スタンスは適切だと判断している」とした。一方で、前回までの「(経済)見通しに関する不確実性は残っている」という表現を削除した。ジェローム・パウエル議長は記者会見PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、「現在の政策金利の水準は適切であり、今後もたらされるデータがわれわれの見通しとおおむね一致している限り、(今後も)適切であり続ける」と述べた。また、世界経済の動向と物価上昇圧力が抑制されている点は引き続き重要で、金融政策スタンスを変更する際は「(経済)見通しに重大な再評価があることを確認したい」と指摘した。個人的な見解では、政策金利の引き上げを行う際は「インフレ率が大幅に上昇し、それが持続的であることを確認したい」と述べた。

FOMCメンバーによるFFレートの見通し(17人の中央値)については、2020年、2021年、2022年と長期が、それぞれ1.625%、1.875%、2.125%、2.500%とされ、9月会合時点の見通しから2020~2022年が0.25ポイントずつ引き下げられた(図2参照)。1回当たりの利下げ幅を0.25ポイントとすると、2020年は利下げや利上げが行われず、2021年と2022年にそれぞれ1回ずつの利上げが行われる想定となっている。

図2 FOMCメンバーが予測する将来のFF金利水準

米調査会社コーナーストーン・マクロのパートナーのロベルト・ペルリ氏は、今回会合から読み取ることのできるメッセージは「FRBは(利上げや利下げの判断を)いったん停止しているということであり、次の動きが促されるには、経済見通しが大きく変化する必要があるということ」と述べた(ブルームバーグ12月11日)。

同時に発表された2019年以降の実質GDP成長率、物価上昇率、失業率の予測中央値については、2019~2022年・長期の失業率が0.1~0.2ポイント、2019年の物価上昇率(コアPCE)が0.2ポイント、それぞれ引き下げられた(表参照)。

表 FOMCメンバーによる経済予測

(権田直)

(米国)

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