米FRB、2019年2回目の利下げ決定、年内の政策金利見通しの見方割れる

(米国)

ニューヨーク発

2019年09月24日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は9月17、18日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を、2.00~2.25%から1.75~2.00%に引き下げることを決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(図1参照)。利下げは2019年に入って2回目で(2019年8月2日記事参照)、前回7月(0.25ポイントの利下げ)以来2カ月ぶり。ジェローム・パウエル議長は記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「米国経済を力強く保ち、(世界的な成長鈍化や貿易政策の不確実性といった)進行中のリスクに対して保険をかけるため」の措置だとした。

図1 政策金利(FFレート)の誘導目標の推移

今回は、7対3の賛成多数で決まった。反対票を投じた3人のうち、前回も反対したカンザスシティー連銀のエスター・ジョージ総裁とボストン連銀のエリック・ローゼングレン総裁は政策金利の誘導目標の維持を主張し、今回反対に回ったセントルイス連銀のジェームズ・ブラード総裁は0.5ポイントの利下げを主張したとされる。パウエル議長は、多くの場合は全会一致も比較的容易だが、「現在は判断が難しい時だ」と述べた。

FOMCの声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、米国経済全般の判断について、労働市場は依然として力強く、経済活動は「緩やかなペースで拡大してきた」とし、7月会合の見方を維持した。金融政策の判断も変更せず(2019年8月2日記事参照)、パウエル議長は「経済が悪化すれば、より長期の継続した利下げが適切になる可能性もある」としつつ、現在は想定しておらず、「FOMCは引き続き状況を注意深く監視して、景気拡大が順調に続くよう適切に行動していく」と述べた。一方で、トランプ大統領は9月18日、ツイッターを通じて、「ジェイ・パウエル(議長)とFRBはまた失敗した。根性もセンスもビジョンもない! ひどい伝達者だ!」と激しく批判した。

FOMCメンバーによるFFレートの見通し(17人の中央値)については、2019年、2020年、2021年、2022年と長期が、それぞれ1.875%、1.875%、2.125%、2.375%、2.500%と、6月会合時点の見通しから2019年が0.50ポイント、2020年と2021年が0.25ポイントずつ引き下げられた(図2参照)。1回当たりの利下げ幅を0.25ポイントとすると、2019年内は利下げが行われない想定となっている。ただし、17人うち7人が1回の利下げ(1.625%)を想定する一方で、5人が維持(1.875%)、5人が1回の利上げ(2.125%)としており、見方は割れている。また、2021年・2022年については、それぞれ1回ずつの利上げが行われる想定となっている。

図2 FOMCメンバーが予想する将来のFF金利水準

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのエコノミスト、ミシェル・メイヤー氏は「経済の(進む)軌道に高い不確実性がある以上、委員間で意見が分かれることはそれほど不思議なことではない」と述べた(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版9月18日)。

同時に発表された2019年以降の実質GDP成長率、物価上昇率、失業率の予測中央値では、2019年と2021年のGDP成長率、2019年の失業率が、それぞれ6月の予測から0.1ポイント引き上げられた(表参照)。

表 FOMCメンバーによる経済予測

(権田直)

(米国)

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