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議会権限を大幅に縮小するEU離脱協定法案可決、2020年1月に最終承認へ

(英国、EU)

ロンドン発

2019年12月23日

英国議会は12月20日、英国のEU離脱(ブレグジット)をめぐり10月にEUと合意(2019年10月18日記事参照)した離脱協定案の批准に必要となるEU離脱協定法案の審議を再開した。法案審議の最初の段階である第二読会で賛成358票、反対234票で可決。同法案の今後の審議日程に関する採決も賛成353票、反対243票で可決され、2020年1月上旬の下院通過に向け大きく前進した。総選挙での与党・保守党の大勝(2019年12月13日記事参照)を受け、僅差の可決や否決が頻発したこれまでの議会採決から状況は一転した。

EU離脱協定法案は10月22日にも第二読会で可決されたが(注)、3日間で下院の審議を終えようとする日程案が否決され(2019年10月23日記事参照)、離脱延期と総選挙につながった。あらためて議会に提出された法案の大半は旧法案と同じだが、大きな変更も複数加えられている。主なものは以下のとおり。

  • ブレグジットに伴う移行期間の延長について、議会の承認を必要とするとしていた旧法案の規定を削除し、政府が期間延長を承認することを禁止する条項を新たに追加。
  • EUとの将来関係について、交渉の各段階(交渉目的の設定、交渉権限の付託、交渉の進捗報告、交渉結果の承認)で議会の承認を必要とするとしていた旧法案の規定を削除。
  • EU法で規定されている労働者の権利を移行期間終了後も維持し、EUで新たに権利保障が規定された場合、英国での水準と異なるか否か、また異なる場合、EUの規定を英国に導入するか否かについて政府は報告義務を負い、それを議会が承認するなど、議会の権限を付与する旧法案の規定を削除。

これらはいずれも、少数与党で苦しい立場に置かれていたテレーザ・メイ前政権と初期のボリス・ジョンソン政権の下、議会からの度重なる反発に折り合いをつけるため、旧法案に組み込んでいたものだ。しかし、総選挙で強い立場を確立したジョンソン政権はこれらの条項を削除。労働者の権利保障などは最大野党・労働党が強く主張し、メイ政権下での政府・野党協議(2019年5月22日記事参照)などを経て勝ち取ったものだったが、削除されることとなった。労働者保護について政府は、新たに制定する雇用法で適正に対応するとしている。

今後の審議では、野党から法案に対する修正動議が複数提出される可能性もある。しかし、保守党から多数の造反を得て可決される見込みはほとんどなく、法案は大きく修正されることなく、2020年1月半ばまでに上下両院を通過し、法制化される見込みだ。

(注)総選挙に先立つ11月6日の議会解散により会期が終了したことで、EU離脱協定法案は廃案となったため、今回の会期での審議は最初からやり直しとなった。

(宮崎拓)

(英国、EU)

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