英国総選挙で保守党が大勝、2020年1月末にEU離脱へ
(英国、EU)
ロンドン発
2019年12月13日
英国で12月12日、下院(定数650)総選挙の投票が行われた。与党・保守党が半数を大きく上回る議席を確保(表参照)。同党が最大の争点としてきた英国のEU離脱(ブレグジット)が2020年1月31日に実現することがほぼ確定した。
投票は12日午後10時(英国時間)に締め切られ、各選挙区では徹夜の開票作業が行われている。保守党としては、1987年にマーガレット・サッチャー首相(当時)の下で375議席を獲得して以降の32年間で最も多くの議席を得ての大勝となった。他方、最大野党・労働党は200議席強まで落ち込んだ。調査会社ユーガブの事前分析では、両党の差は縮まっていたため(2019年12月11日記事参照)、国内では驚きを持って受け止められている。
ボリス・ジョンソン首相は自身の選挙区での当選を受け、支持者らを前に「ブレグジット実現のための新たな力強い(国民からの)付託を得た」と明言。対する労働党のジェレミー・コービン党首は「労働党にとって実に残念な夜になった」とコメント。2017年総選挙に続いての敗北を事実上認め、党首として次回総選挙に臨むことはないと党首を辞任する意向を示唆した。新たな方針などについての党内議論が行われるまでは党首を続ける考えだが、党内から早期辞任を求める声が高まる可能性もある。
スコットランド国民党(SNP)はスコットランド59選挙区の大半を押さえて躍進。一方、自由民主党は議席を減らした上に、ジョー・スウィンソン党首がSNPの候補者に敗北。解散まで保守党に閣外協力していた北アイルランドの地域政党・民主統一党(DUP)のナイジェル・ドッズ副党首も落選する波乱があった。ブレグジット党は議席を確保できないもよう。
保守党は勝利を受け、10月のEUとの合意に基づくEU離脱協定法案を年内にも議会に提出し、年明けに通過させる考え。ジョンソン首相は選挙戦を通して、「保守党の候補者全員が(10月にまとまった)EUとの合意を支持している」と述べており、以前のような議会採決での造反は出ないとみられる。野党にこれに対する手段はなく、2019年3月29日から3度にわたって延期されてきたブレグジットがようやく実現することになる。
(宮崎拓)
(英国、EU)
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