マニラ首都圏の最低賃金、2020年初頭にも引き上げか

(フィリピン)

マニラ発

2019年12月06日

労働雇用省は、2020年初頭にもマニラ首都圏の最低賃金が引き上げられる可能性を示唆したと、11月26日付の地元各紙が報じた。

労働雇用省のアナ・ディオン次官は、マニラ首都圏・地域賃金生産性委員会が12月にも、マニラ首都圏の最低賃金の引き上げに向けた公聴会を開始するとした。国家賃金生産性委員会が2007年に出したガイドラインによると、公聴会の会期は45日間とされ、その後の公示から15日後に発効するとされる。

マニラ首都圏の最低賃金は2018年11月、2017年10月以来約1年ぶりに日額25ペソ(約53円、1ペソ=約2.1円)引き上げられ、日額最低賃金が非農業分野は475~512ペソから500~537ペソに、農業分野は475ペソから500ペソに改定された(2018年11月7日記事参照)(表参照)。

マニラ首都圏・地域賃金生産性委員会は2019年11月25日、労働組合「賃上げ団結連合」からマニラ首都圏の最低賃金を213ペソ引き上げる要望書を受け取ったが、同委員会が承認する可能性は低いと地元各紙は伝えている。マニラ首都圏の日額最低賃金は近年、日額8ペソから56ペソの範囲で引き上げられている。

2018年1月1日に施行された、税制改革法第1弾による物品税の増税(2018年3月27日記事参照)や、世界的な商品市況の高騰基調も重なり、フィリピンの2018年通年の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)は5.2%と、政府の通年目標2.0~4.0%を上回る高水準となったことが、2018年11月のマニラ首都圏の最低賃金引き上げの背景にある。

2019年に入り、1月から10月までの平均インフレ率は2.6%で、10月単月では過去3年半で最も低い前年同月比0.8%にとどまる(2019年11月6日記事参照)など、インフレ率は鈍化している。

表 フィリピン地域別最低賃金(日給、2019年11月時点)

(坂田和仁)

(フィリピン)

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