メコン3カ国の消費市場に注目、各国のジェトロ所長が投資を呼び掛け

(カンボジア、ラオス、ミャンマー)

アジア大洋州課

2019年12月24日

ジェトロは12月10日、「現地所長が語る メコンの投資環境 再検証」セミナーを東京都内で開催し、各国のジェトロ所長がカンボジア、ラオス、ミャンマーの投資動向や消費市場に注目したビジネスチャンスを紹介し、投資を呼び掛けた。

カンボジア宮尾正浩ジェトロ・プノンペン事務所長:進出が伸び悩む労働集約型の製造業については、若年労働力が豊富なことから、引き続き投資の可能性はある。ベトナムとの比較において、最低賃金の上昇による人件費の負担増(注)や、労働生産性の低さを懸念する声もあるが、企業による年間実質負担額や単純工程での不良品率はカンボジアの方が低い。また、プノンペンの消費市場では、カンボジア人や中国人による日本産食品の潜在需要が大きい。イオンモールで2019年10月に開催した「Japan Food Fair」では、日本産の冷凍水産物に加え、ナシやカキなどの高級果物やカップ麺、菓子などの加工食品が予想以上に売れた。これを踏まえ、消費市場で商機を得るためには、テスト販売を通じた売れる商品・売れない商品の見極めが大事になる。

ラオス岩上勝一ジェトロ・ビエンチャン事務所長:日系企業の投資分野は、製造業、農業、サービス業と多岐にわたる。近隣諸国と比べて市場は小さいが、タイと親和性の高さや地理的近接性を背景としたタイ人材やインフラなどの活用、オーガニック栽培に適した農地など、ラオスの良さを最大限生かしたビジネスモデルの構築が成功の秘訣(ひけつ)だ。サービス業では、ビエンチャンで所得の増加に伴い、高品質な商品・サービスへの需要が高まっている。子供向けのビジネスが特に増え、日本の紙おむつ、粉ミルク、菓子などを販売する小売店が開業したり、学習塾、習い事などのサービスも増えてきた。また今後、注目すべき分野はアプリ開発で、ラオスのITベンチャー経営者も、日本の高品質なサービスを取り込んだアプリ開発への関心が高い。

ミャンマー田中一史ジェトロ・ヤンゴン事務所長:新会社法の成立や小売り・卸、保険の外資開放などを通じたミャンマー政府の投資誘致策に伴い、日本からは企業規模を問わず、さまざまな業種でビジネスをはじめる動きがみられる。また、最近のトレンドの1つとして、スタートアップ企業の台頭、フィンテックやキャッシュレスサービスの提供が増えている点が挙げられる。先行者利益を求めて同市場に参入しているミャンマー企業は、欧米企業や日系企業と連携して市場を開拓していきたい意向を持っている。

(注)カンボジアにおける最低賃金の動向は2019年7月22日記事および9月25日記事参照。

(山口あづ希)

(カンボジア、ラオス、ミャンマー)

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