中国とASEAN、「一帯一路」とスマートシティ分野協力の2つの共同声明発表

(ASEAN、中国、タイ)

バンコク発

2019年11月21日

第22回中国・ASEAN首脳会議(注1)が11月3日、バンコクで開催され、「一帯一路」構想とスマートシティ開発に関する共同声明が発出された。共同声明の概要は以下のとおり。

ASEAN連結性基本計画(MPAC)2025および一帯一路イニシアチブの相乗効果創出にかかる中国ASEAN共同声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」については次のとおり。

  • MPAC2025(注2)と一帯一路イニシアチブの相乗効果の創出が地域の連結性、平和と安定、経済発展および持続的開発に寄与することを認識。中国ASEAN共同体(ASEAN-China Community)を構築するという中国の構想に留意。
  • 「ASEANインド太平洋アウトルック」(2019年6月28日記事参照)で示された、ASEAN中心性、開放性、透明性、包摂性などの原則に留意。
  • 一帯一路イニシアチブの原則である平和と協力、開放性、包摂性、公平性、相互利益などに留意しつつ、質が高く、人が中心にあり、持続可能な開発が可能になるよう、相互に利益があり、質の高い協力を推進する努力が進んでいることを評価。
  • 具体的な取り組みとして、MPAC2025の中のインフラ開発優先分野、特に鉄道・高速道路・港湾・空港・電力・情報通信技術(ICT)などの分野における中国の積極的な関与、アジアインフラ開発銀行(AIIB)やアジア開発銀行(ADB)、世界銀行、シルクロード基金などの民間資金動員を促し、革新的なインフラ融資手法を推進すること、第4次産業革命がもたらす機会を捉え、イノベーション、スマートシティ開発、デジタル経済、デジタルサプライチェーン、労働、ICT、電子商取引、中小零細企業支援の協力を拡大するなどがうたわれている。また、ASEANスマートシティネットワーク(ASCN)(2019年8月30日付地域・分析レポート参照)を支援し、2020年を「中ASEANデジタル経済協力年」とすることを歓迎するとした。

スマートシティ協力イニシアチブにかかる中ASEAN首脳宣言PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」については次のとおり。

  • スマートシティの質が高く持続可能な開発を推進するため、監督機関や地方政府などに対しベストプラクティスの共有を行う。
  • スマートシティ技術産業分野における通信、相互認証、国際標準の利活用、適合認証などの協力推進により標準化協力を進める。特に個別都市の異なる優先分野、開発状況などを踏まえ、地域に即した標準(Localized standards)の適用を追求する。
  • デジタル技術、エネルギー分野(再生エネルギー、エネルギー効率性、技術適用)を含めたスマートシティ開発における技術イノベーションを推進する。また、スタートアップを含む企業と地域・国際機関の連携を強化する。
  • 南寧、アモイ、杭州、済南、昆明、深セン、南京、成都などの中国の都市とASCN記載都市のパートナーシップを相互に利益があるかたちで進める。
  • 大学、企業、研究機関による教育プログラム推進、スマートシティ開発にかかる人材育成、政府機関、研究機関、企業の人材交流促進を通じた人材育成と知識の共有を進める。

(注1)議長声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(注2)ASEAN域内の物理的・制度的・人的連結性強化にかかる基本計画PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ASEANウエブサイトで参照可能。

(蒲田亮平)

(ASEAN、中国、タイ)

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