EUシンガポールFTA、11月21日発効へ

(EU、シンガポール)

欧州ロシアCIS課

2019年11月14日

EUとシンガポールの自由貿易協定(FTA)が11月21日に発効する。EU理事会(閣僚理事会)が11月8日、同協定の発効を採択した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますことを発表した。

EUシンガポールFTAは2018年10月19日に署名され(2018年10月16日記事参照)、2月13日に欧州議会の承認が完了していた。その後、同協定により保護されるEU側の地理的表示(GI)138産品のシンガポールでの登録手続きと、同協定に関する通商政策委員会の協議を経て、各加盟国の代表による常駐代表委員会(通称:コレペール)が10月23日に、11月21日の発効について合意した。

発効と同時に、シンガポール側はアルコール飲料など最恵国待遇(MFN)税率が有税となっている品目の関税を全て撤廃する。EU側も、シンガポールからの輸入額の8割以上の関税を即時に撤廃。即時撤廃とならない繊維・衣料やバイク、フルーツ、シリアルなどについても、3年または5年かけて撤廃する。欧州委員会のセシリア・マルムストロム委員(通商担当)は11月8日、「双方のワーカーや農業従事者、全ての規模の企業に裨益する」とコメント、さらに、同協定が労働者の権利や環境に関する強固な取り決めを含む点を成果として強調した。

EUにとって、シンガポールは初のASEAN加盟国のFTAパートナーとなる。EUシンガポールFTAは2010年に投資保護条項を含めて交渉が開始され、2014年に妥結したが、2017年5月16日のEU司法裁判所(CJEU)の意見書(2017年5月17日記事参照)を踏まえて、欧州委員会は2018年4月18日に「自由貿易協定」と「投資保護協定」に分けて別個に締結する案を提示。妥結したFTAを自由貿易協定と投資保護協定に分け、あらためて2018年10月に署名した。

今回発効するのは自由貿易協定のみで、投資保護協定については、各加盟国議会での批准承認が完了次第の発効となる見通しだ。

署名版のEUシンガポールFTA協定文は欧州委員会ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから確認できる。

(根津奈緒美)

(EU、シンガポール)

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