ラマポーザ大統領がロシア訪問、原子力分野の協力にも言及

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2019年11月08日

南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は10月23、24日にロシアのソチで開催された「第1回ロシア・アフリカサミット」(2019年10月31日記事参照)に参加した。大統領のロシア公式訪問は2018年の就任後初めて。大統領に同行してナレディ・パンドール外相や、プラビン・ゴーダン公共企業相、アヤンダ・ドロドロ安全保障相らの主要閣僚ほか、鉱業、情報通信技術(ICT)、石油関係の企業代表らも参加した。

会期中に南ア・ロシア間で合意・締結された投資案件や協定の具体的内容は明らかにされていないが、両国間ではこれまでに2国間投資促進・保護協定、二重課税防止、原子力平和利用のための協力、資源の共同開発、農業・水資源分野での協定・協力が結ばれている。南アには資源関係を中心にロシア企業が進出しており、財閥企業レノバ・グループがマンガン鉱を生産しているほか、ニッケル・パラジウム生産大手のノリリスク・ニッケルや大手鉄鋼メーカーのエブラズ・グループらが進出している。一方、南アからロシアへは、通信・娯楽最大手ナスパーズや、製紙大手モンディなどが進出している。ラマポーザ大統領は、数多くのロシア企業が既に南アに進出しているが、設備の改良が必要だとして、南アへのさらなる投資を繰り返し呼び掛けた。

両国関係は1990年代、南アの人種隔離政策(アパルトヘイト)撤廃に向けて、当時の白人政権と闘っていた現与党のアフリカ民族同盟(ANC)にソ連(当時)が軍事訓練や武器を提供していた歴史がある。今回のロシア訪問には、ジェイコブ・ズマ前政権時代にロシアと密約を交わしたとうわさされる南アでの原子力発電所新設(2017年11月7日記事参照)の行方にも注目が集まった。

ラマポーザ大統領は記者団に対し、プーチン大統領との首脳会談でこれまでどおりロシアによる原子力案件が話題に上ったと明らかにし、原子力は南アのエネルギー計画(2019年10月29日記事参照)に引き続き含まれているため、適切な時期に検討すると回答したと語った(「Business Maverick」10月24日付)。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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