ロシア・アフリカサミットが初開催、多様な分野で経済連携を推進

(ロシア、アフリカ)

モスクワ発

2019年10月31日

ロシアがアフリカ諸国との連携強化に動いている。ロシア・アフリカ間の政治、経済、安全保障、文化などの関係の発展を目的に、10月23~24日にロシアのソチで第1回ロシア・アフリカサミット(以下、サミット)が開催された。ロシアにとって初めてのアフリカ諸国首脳ら要人を集めた国際会議となり、アフリカ54カ国の代表(うち43カ国から首脳)が出席した。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とアフリカ連合のアブドゥルファッターハ・エルシーシ議長(エジプト大統領)が共同議長を務めた。

サミットに合わせて、ロシア・アフリカ経済フォーラムも開催された。プーチン大統領は同フォーラムの全体会合で、「この5年間でロシア・アフリカ間の貿易額は2倍以上に成長し、200億ドルを超えた。そのうち40%をエジプトが占めているが、潜在的なパートナーは多く、大きな成長の可能性がある」と述べた。また、ロシア企業がアフリカで従来行っているエネルギー資源開発や鉱物資源開発だけでなく、原子力分野やデジタル経済の発展を支援していることに触れ、経済連携の多様化をアピールした。

サミット期間中に92の文書(合意書、契約書、覚書など)が署名され、その総額(公開情報のみ)は1兆40億ルーブル(約1兆7,068億円、1ルーブル=約1.7円)に上った。具体的には、ロシア最大手行ズベルバンクやロシア輸出センターなどによるアフリカ向け輸出への金融支援や、エジプトでの穀物ターミナル建設、アンゴラでの尿素プラント建設、エジプトへの鉄道車両供給、ナイジェリアへのサービスロボット(2019年10月1日記事参照)の供給に関する文書などが締結された。今回のサミットのロシア側の狙いの一部として、西側諸国や中国を意識したアフリカとの安全保障や外交関係強化が挙げられるが、非資源分野を含む経済連携強化を進めるきっかけにもなったといえるだろう。

サミットは今後、3年に1回開催され、次のサミットまでの毎年、ロシア外相とアフリカ連合の前任・現職・後任の議長による政治対話が開催される。

(戎佑一郎)

(ロシア、アフリカ)

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