IMFが2020年経済成長率を6.3%に上方修正、2019年は5.7%で据え置き

(フィリピン)

マニラ発

2019年11月26日

IMFは11月18日、2020年のフィリピンの経済成長率の予測を6.3%に上方修正した。前回(10月)の予測値(6.2%)から0.1ポイント上回る予測だ。一方で、2019年の経済成長率の予測は前回と同じ5.7%に据え置いた。

2020年の経済成長率予測を上方修正した理由について、2019年の前半は不調だった政府支出が後半に入り順調に増加している点と、昨今のフィリピン政府による金融緩和政策を評価したとした。また、税制改革、国民ID制度、ビジネス環境改善法といったドゥテルテ政権が推し進める各種改革が今後も継続されるならば、経済成長は中長期的にみても好調なものとなるとした。

フィリピンでは、2019年度予算が見込みより3カ月半遅れて4月に成立し、2019年上半期GDPの2%に相当する1,780億ペソ(約3,738億円、1ペソ=約2.1円)の国家予算執行残が上半期で発生していた(2019年9月11日記事参照)。これらが上半期の経済成長率の鈍化(5.5%)につながったと指摘されていたが、2019年第3四半期の政府消費支出が9.6%増、建設投資が17.3%増と成長を牽引して、第3四半期は6.2%と6四半期ぶりの高成長率をみせた。また、政府は2019年に入り、3回にわたって政策金利を引き下げ(2019年9月30日記事参照)、市中銀行から強制的に預金の一定割合を預かる預金準備率も3回引き下げる(2019年10月31日記事参照)など、景気底上げのための金融政策を継続して打ち出している。

2019年のフィリピンの経済成長率に関する各経済予測機関の直近の予測は、IMFが最低の5.7%、世界銀行とムーディーズが5.8%、アジア開発銀行、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、フィッチが6.0%としている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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