米商務省、対ファーウェイ輸出の一部に許可

(米国、中国)

ニューヨーク発

2019年11月21日

複数の米メディアによると、米国商務省は華為技術(ファーウェイ)に対する米国製品(物品・ソフトウエア・技術)の輸出許可を申請していた米企業の一部に対して、許可の通知を開始したと報じている。

ファーウェイおよび関連114社は現在、商務省が管理するエンティティー・リスト(EL)に追加されており、それら対象への、米国製品の輸出・再輸出は原則、不許可となっている(注)。これまでファーウェイに製品を納入していた半導体メーカーを含む米企業などは、この措置に関して、商務省に許可申請を提出していた。ウィルバー・ロス商務長官はフォックス・ビジネス・ネットワーク(11月19日)で、290件余りの許可申請を受けているとし、それらに対して「却下と許可の通知を出し始める」と発言していた。具体的にどの企業に対して許可を与えたかの情報は開示されていない。

なお、今回の許可は、11月18日に商務省が発表した暫定包括許可(TGL:Temporary General License)の延長(2019年11月19日記事参照)とは別の措置となる。輸出管理に詳しい米法律事務所の見解によると、TGLについては商務省が規定する4つの取引形態に該当する場合、企業は自己責任の下、案件ごとに商務省に許可を得ることなく輸出が可能となる。

米国の半導体産業協会(SIA)はプレスリリースで、「われわれは国家安全保障上の懸念とならない民生用の半導体技術に関して、政権が輸出ライセンスの許可を行ったことを歓迎する。センシティブではない民生用の製品を販売することは、米国の国家安全保障に不可欠な米国の半導体産業の競争力を確固たるものにする」との声明を出している。

対中強硬派のマルコ・ルビオ上院議員(共和党、フロリダ州)は、ファーウェイが中国政府とつながっていると指摘した上で、「ファーウェイの力を維持または強化するような輸出許可は米国の安全保障上の利益に反する」と、政権の判断を批判している(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版11月20日)。

(注)5月15日にファーウェイと関連68社がELに追加され(2019年5月16日記事参照)、8月19日にさらに同社関連46社がELに追加された(2019年8月20日記事参照)。

(磯部真一)

(米国、中国)

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