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3度目のブレグジット延期確定を受け、英国の政府と議会は総選挙へ駆け引き

(英国、EU)

ロンドン発

2019年10月29日

EUが10月28日、英国のEU離脱(ブレグジット)期限を3カ月延期することを大筋で認めた(2019年10月29日記事参照)ことを受け、ボリス・ジョンソン英国首相は同日、欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長宛ての書簡で、EUの決定を受け入れることを通知。3度目の離脱延期が事実上確定した。

ジョンソン首相は同日の議会で、事態の打開を図るために早期の総選挙を求める動議を提出。しかし、賛成は299票にとどまり、動議可決に必要な下院総議席数(650)の3分の2(434票)には届かなかった。議会が解散・総選挙を拒否したのは現政権下で3度目(2019年9月5日記事9月10日記事参照)。これを受けて首相は戦術を変え、現行法を修正して12月12日に総選挙を行うとする法案を10月29日にも議会に諮る。法案の場合、上下両院の可決が必要だが、過半数の支持を得れば通過するため、解散・総選挙へのハードルが下がる。

一方、合意なき離脱(ノー・ディール)阻止では一枚岩だった野党は、足並みが乱れてきた。最大野党・労働党は解散・総選挙の条件として、新たな離脱期限となった2020年1月31日にノー・ディールとなる可能性を完全に排除することなどを挙げて政府に反発。党内に残留派と離脱派を抱え、明確な方針を打ち出せずに支持が低迷する中、総選挙での大敗の危機感もにじむ。野党第2党のスコットランド国民党(SNP)と第3党の自由民主党は、政府と同様、現行法の修正による12月9日の総選挙を求める動議を提出。EU残留を主張する両党は、EU離脱協定法案(2019年10月23日記事参照)の総選挙前の成立を排除するため、少しでも早い日程の総選挙を求めている。しかし、総選挙は最短で議会解散から土日祝日を除く25日後となるため、12月9日の実施は議会可決のための時間のゆとりがなく困難だ。ただ、与党・保守党と両党が折り合えば過半数を確保できるため、12月に総選挙が実現する可能性はある。一方、保守党と労働党を離党したEU残留派議員5人からなる「変革のための無党派グループ」は逆に、解散・総選挙ではなく、EU離脱協定法案の審議を進め、2度目の国民投票を義務付ける修正動議を通過させることを主張している。

政府筋がBBCに伝えた情報によると、政府が10月20日に発動していたノー・ディール時の緊急計画「オペレーション・イエローハンマー」(2019年9月13日記事参照)は、28日の離脱延期確定により解除された。28日朝に発動されたばかりの「オペレーション・ブロック」(2019年10月16日記事参照)は、29日に正式に解除されるもよう。英国商工会議所(BCC)のアダム・マーシャル事務局長は28日、「経済界は、混乱と無秩序を伴う離脱という脅威が今週避けられたという安堵(あんど)と、いまだに永続的な解決が実現していないという失望の両方を等しく実感するだろう」とコメント。先行き不透明感はなお拭えない。

(宮崎拓)

(英国、EU)

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