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EU離脱延期法が成立、英議会は解散を否決し5週間の閉会へ

(英国、EU)

ロンドン発

2019年09月10日

英国のEU離脱(ブレグジット)を延期することに道を開く法案(2019年9月3日記事参照)が9月9日午後、エリザベス女王の裁可を得て成立、発効した。法案は9月4日に下院を(2019年9月5日記事参照)、6日に上院を通過していた。10日未明、英国議会は閉会を宣言。10月14日に再開されるまで、異例の約5週間にわたる休会が始まった。

離脱延期法の成立により、10月31日に合意なき離脱(ノー・ディール)となる懸念は、ひとまず後退した。しかしボリス・ジョンソン首相は、法案が下院で可決された後も予定どおり離脱する意向を強調し、EUへの離脱延期要請を否定。前週末にはドミニク・ラーブ外相が報道番組で「(離脱延期法が)何を要求し、何を要求していないのか精査する」と述べ、サジード・ジャビド財務相も別の番組で「法には従うが、政府の方針は変えない」と発言するなど、政府が離脱延期法を無視するのではないか、との観測もくすぶっている。最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は9月9日の議会で、政府が同法に従うことを求める緊急動議を提出。賛成多数の無投票で可決されたが、野党議員らは政府の奇策をなお警戒している。

9月9日の議会ではまた、4日の採決で造反して与党・保守党を除名された親EU派のドミニク・グリーブ元法務長官も、緊急動議を提出した。政府が決めた議会休会に関する官邸スタッフらの通信内容と、ノー・ディール時の政府緊急対策「イエローハンマー作戦」に関連する政府文書の公表を要求し、賛成311票、反対302票で可決された。対する政府は、10月15日に総選挙を実施すべく、下院の早期解散を求める動議を提出。しかし、ノー・ディール回避確定を優先する野党の反対により、賛成は293票にとどまり、否決された。解散動議の否決は4日の議会に続き2度目。ジョンソン首相は、議会採決で連戦連敗を重ねている。

ノー・ディールの道がふさがれても、EUとの合意が実現すれば、10月末に離脱する望みもつながる。ジョンソン首相も、合意を望むと繰り返し発言している。しかし、見通しは極めて厳しい。ジョンソン首相は議会に先立ち9月9日午前、アイルランドの首都ダブリンでレオ・バラッカー首相と会談。バラッカー首相は共同記者会見で、「(バックストップを発動させずに済む)代替案を検討する用意はある。しかしそれは現実的で、法的拘束力を持ち、実行可能なものでなければならない。これまで、そのような提案は(英国から)受けていない」と述べ、英国を牽制した。8日に閣僚辞任と保守党からの離党を表明したEU離脱穏健派の重鎮、アンバー・ラッド労働・年金相兼女性・平等担当相は同日の報道番組で、「政府はノー・ディールの準備のために80~90%の時間を費やしている一方、本気で合意を実現するための努力をしていない」と、政府を非難している。

ラッド労働・年金相の辞任に先立つ9月5日には、ジョンソン首相の実弟、ジョー・ジョンソン・ビジネス・エネルギー・産業戦略省担当相兼教育省担当相が「家族への忠誠と国益の間で引き裂かれていた」と苦悩を明かし、同職を辞任している。ジョンソン首相は、悪夢の1週間を終え、議会閉会中に挽回を狙う。

(宮崎拓)

(英国、EU)

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