財務省、税制改革第2弾で150万人雇用創出と主張

(フィリピン)

マニラ発

2019年10月11日

フィリピン財務省のカール・ケンドリック・チュア次官は9月30日、30%という東南アジアで最も高い現行の法人税率を10年かけて段階的に20%まで削減すると同時に、日系企業を含む多くの外資系企業が入居する経済特区の税制優遇制度(注)の抜本的見直しを規定する税制改革第2弾法案「CITIRA法案」が成立した場合、150万人の新たな雇用が創出されるとの声明を発表した。

チュア次官の声明は、9月24日に外国商工会議所連合(JFC)がCITIRA法案の成立によって初年度に70万3,000人の雇用が失われるとの試算を発表(2019年10月4日記事参照)したことへの反論で、「財務省の試算は透明性のある根拠で算出されたものであり、企業が法人税率の低減によって得られる資金の50%を設備投資に向けることにより、150万人の新たな雇用が生まれる」とし、JFCの試算には財務省が主張する法人税率の低減による雇用創出効果は考慮されておらず誤っていると主張した。

財務省のカルロス・ドミンゲス長官は、フィリピン経済特区庁(PEZA)を含め、投資誘致機関(IPA)の経済特区に入居する3,150社は税制優遇制度によって法人税率に換算して6~13%程度しか課税されていない一方で、国民の大多数を雇用する中小零細企業は東南アジアで最も高い30%の法人税率が課されているとした。

ドゥテルテ大統領は7月22日に実施した就任後4回目となる施政方針演説(SONA)で、税制改革第2弾法案によって数多くの中小零細企業が恩恵を受けるとして、法案を早期に成立させる意向を表明した(2019年7月25日記事参照)。

CITIRA法案は9月13日に下院で可決され(2019年9月19日記事参照)、現在は上院で審議されている。

(注)PEZAに入居する製造業の場合、(1)法人所得税の3~6年間の免除(ITH)、(2)ITH終了後は売上総利益の5%を法人所得税とする特別所得税率の適用、(3)関税、埠頭(ふとう)税、輸出税の免除、(4)税関手続きの簡略化などが適用されている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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