1~7月の海外投資純流入が39%減、税制改革と世界経済減速が原因と中銀指摘

(フィリピン)

マニラ発

2019年10月28日

フィリピン中央銀行(BSP)は10月10日、7月の海外直接投資(FDI)の純流入額が前年同月比41.4%減の5億4,300万ドル、1~7月のFDI純流入額の合計は前年同期比39.1%減の41億1,800万ドルとなったと発表した。

7月のFDI純流入額の内訳は、全体の34.2%を占める株式・投資ファンド持ち分が1億8,600万ドルで前年同月比44.7%減、65.8%を占める負債性資本が3億5,700万ドルで39.5%減といずれも大きく減少した。株式・投資ファンド持ち分の内訳は、株式資本純流入額が9,900万ドル(62.2%減)、収益の再投資が8,700万ドル(15.8%増)だった(添付資料参照)。

BSPのベンジャミン・ディオクノ総裁はFDI純流入の大幅な減少について、海外の投資家は税制改革第2弾法案「CITIRA法案」の国会審議の行く末を注視しているとした上で、「経済特区庁(PEZA)がCITIRA法案を支持する意向を表明(2019年10月11日記事参照)したことを受けて、法案審議は今後加速し、2019年内または2020年初に法案が成立すれば、投資家はあらためてフィリピンの最終的な税制を把握し、フィリピンへの投資を再検討する段階に入る」と述べ、CITIRA法案成立後にFDIが回復するとの見込みを示した(CITIRA法案の概要については2019年10月2日付地域・分析レポート参照)。また、米中貿易摩擦や英国のEU離脱(ブレグジット)といった世界経済の不安定要素と、昨今の世界的な景気減速が投資家心理を冷え込ませ、フィリピン投資を見合わせる原因となっているとした。

BSPは当初、2019年のFDI純流入額の目標を102億ドルとしていたが、これを90億ドルに引き下げた。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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