日本企業参画のハバロフスク空港新ターミナルが稼働

(ロシア、日本)

欧州ロシアCIS課

2019年10月23日

ロシアのハバロフスク国際空港を運営するハバロフスク空港会社は10月14日、このほど完成した国内線用新ターミナルでモスクワおよびウラン・ウデからの国内線の離発着が行われたと発表した。

新ターミナルは、8月30日に操業開始許可をロシア航空輸送庁から取得。9月4日にはプーチン大統領の臨席の下、第5回東方経済フォーラムに合わせて、開所式が行われた。9月30日には、新ターミナルと試験運航をユーリ・トルトネフ副首相兼極東連邦管区大統領府全権代表が視察した。

国内線用新ターミナルは、延床面積2万7,000平方メートル超で、年間の処理能力は300万人。ボーディングブリッジ3本、エレベーター12基、エスカレータ7基を備え、バリアフリーに配慮した設計となっている。建設は、2018年3月に開始され、建設プロジェクトは優先的社会経済発展区域(TOR)「ハバロフスク」枠内での実施となっている。総投資額は、双日、日本空港ビルデング(JATCO)、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)の3社による出資を含む49億ルーブル(約83億3,000万円、1ルーブル=約1.7円)。うち39億ルーブルはVEB.RF(旧ロシア開発・対外経済活動銀行)と極東発展基金が負担している。本ターミナルは、ドイツ企業によって設計され、トルコの企業連合のゼネコンによって建設された。

ハバロフスク空港会社のコンスタンチン・バシュク最高経営責任者(CEO)によると、既存のターミナルの国内線乗り場から、新ターミナルの国内線乗り場への移行は10月中に完了するとしている。新ターミナル内の国際線乗り場については、「実態上、設計作業は終わっているが、政府委員会による投資プロジェクト承認と、長期投資に向けた空港使用料金の設定が必要となる」と述べた。空港使用料は航空運賃に反映されるが、これを抑えるため、インフラ投資プロジェクトへの金利補助や融資期間の延長などの措置を講じるとし、さらに、乗り入れる航空会社を増やすため、ハバロフスクと日本、韓国、中国との間の運航制限の撤廃も検討していることを明らかにした(ハバロフスク空港会社発表9月30日)。

トルトネフ副首相兼極東連邦管区大統領全権代表は、9月30日にハバロフスク国際空港の滑走路の整備について言及。2010~2020年の連邦特別目的プログラム「ロシアの輸送システムの発展」の枠内で、連邦予算に基づき実現されていると述べ、エプロンと誘導路、関連インフラの建設を含む第1滑走路の近代化については、2020年に完工予定で、全作業のうち85%まで終えているとした(ハバロフスク空港会社発表9月30日)。

写真 建設中のハバロフスク空港新ターミナル(ジェトロ撮影、2018年12月時点)

建設中のハバロフスク空港新ターミナル(ジェトロ撮影、2018年12月時点)

ロシアでは、サッカーワールドカップ・ロシア大会(2018年)を契機に開催都市での空港インフラの新設・改修が実施されたが、同大会後も、その他都市の空港を含めて、同様の動きが継続している。モスクワ・シェレメチェボ空港では、第3滑走路の供用を9月19日に開始し、現在は、チャーター便向けのCターミナルの建設が進んでいる(2019年9月20日記事参照)。サラトフでは、新しい国際空港が8月20日に開港している(2019年8月28日記事参照)。

(齋藤寛)

(ロシア、日本)

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