沿ボルガ地域の工業都市サラトフに新しい国際空港が開所

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年08月28日

ロシアの中西部ボルガ川沿岸の工業都市サラトフで8月20日、新しい国際空港「ガガーリン」(以下、新空港)がオープンした。

新空港は、サラトフ市の北20キロに位置。滑走路の長さは3,000メートル、幅45メートル。空港ターミナルの年間旅客処理能力は100万人。新空港の建設はロシア運輸省、連邦航空輸送庁、サラトフ州政府、管理会社「地方空港」(注)の4社による官民パートナーシップ形式で行われ、国・地方予算から72億2,000万ルーブル(約115億円、1ルーブル約=1.6円)が拠出されたほか、80億ルーブルの民間投資が行われた(「コメルサント」紙8月21日)。

新空港は、サラトフ中央空港(以下、旧空港)に置き替わるもので、旧空港は新空港の開所と同時に閉鎖された。旧空港は、サラトフ市街地に隣接しており、拡張余地がなく事故の際に市街地に危険が及ぶ可能性があること、滑走路の長さが2,222メートルと短く、スホイ・スーパージェット(SSJ)やエンブラエルなどのリージョナルジェット機しか離発着できず、利便性が良くなかったことが主な移転理由だ。

管理会社「地方空港」のエフゲニー・チュドノフスキー社長は「2018年に42万6,000人だった利用客を2021年までに100万人に拡大させる」とし(「ベドモスチ」紙8月18日)、サラトフ州ワレリー・ラダエフ知事は「ペンザ州、モルドビア共和国、ボルゴグラード州、カザフスタン北西部のウラリスク(カザフ語では「オラル」)の空港を利用していた乗客を誘致したい」と期待を述べている(「コメルサント」紙8月21日)。

他方、新空港開設に伴い、就航航空会社は主要路線の便数削減を発表した。ロシア航空大手シベリア航空(S7)はモスクワ~サラトフ線を毎日4便運航しているが、9月9日以降、同2便に減らし、中堅航空会社ルスラインは9月17日から同路線を休止する。「コメルサント」紙(8月21日)によると、減便理由は2つあり、1つ目は、新空港の空港利用料が旧空港と比べ、3倍以上に値上げが行われたこと(表参照)。2つ目は、滑走路が3,000メートルとなったことで、これまで離発着できなかったエアバス320機やボーイング737機などの中距離広胴機の運用が可能となったため、1機当たりの輸送人数が2~3倍に増えたことだ。チュドノフスキー社長は「多人数が搭乗可能な旅客機を運用することで、1回当たりの飛行コストを抑えることができ、30%ほどコストの削減が可能」とし、空港利用料の値上げ分は相殺できるとの見方を示した。

表 サラトフの新旧空港の空港利用料の比較

航空機産業に特化した情報分析機関アビアポルトのオレグ・パンテレエフ所長は、投資家が資金回収するまで、数年間、空港利用料の引き下げは行われず、航空券代は高止まりすると指摘。この状況への対処には、「サラトフ地方政府による補助金拠出が重要」と語った。

(注)同社は、サラトフ空港のほか、エカテリンブルク、サマラ、ロストフ・ナ・ドヌー、ニジュニ・ノブゴロド、ペトロパブロフスク・カムチャツキー、ノブィ・ウレンゴイの空港も運営している。

(齋藤寛)

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