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EFTAとメルコスールとのFTA合意、スイス側の狙い

(スイス)

ジュネーブ発

2019年09月11日

スイス連邦参事会(内閣)は8月24日、欧州自由貿易連合(EFTA)(注)とメルコスールの自由貿易協定(FTA)に関する交渉について、8月23日のブエノスアイレスでの会合で実質合意に至ったと発表した。

合意内容は、メルコスール側も発表したとおり(2019年8月26日記事参照)、多角的な自由化項目を含んでおり、往復貿易額58億ユーロ(2018年、EFTAによる)に上る輸出入品の大部分が自由化対象となる。このFTAに関するスイス側の発表では、スイスの狙いと国内調整状況に関する説明がされている。

発表では、メルコスールとのFTAは、EU・メルコスールFTAと同等か、幾つかの項目ではより有利な条件を得られたことを強調している。EFTAとメルコスールの貿易交渉の発端は、2000年に署名された貿易協力に係る共同宣言にさかのぼるが、スイスとメルコスールの間の貿易量がさほど多くなかったこともあり、スイスが交渉を急ぐ必要はあまりなかった。ところが、EUがメルコスールとのFTAを並行して交渉するようになり、EU・メルコスールFTAの締結によってスイスの輸出業者が不利益を被るのを避けるために、EUと同等以上の貿易環境整備を目指すスイスとしては、メルコスールとの交渉を加速したとみられる。しかし、EUはEFTAに先んじて2019年6月に合意に至ったことが発表された(2019年7月1日記事参照)。

EFTA・メルコスールでは、幅広い工業製品の市場アクセスに加えて、一部農産品の市場アクセスについて、WTO加盟時の自由化義務の範囲外の譲許(関税割当)を初めて認めたことである。EFTAはこれまで、工業製品の自由化に主眼を置いて交渉してきており、農産品の輸入に関しては、スイスにとって影響の少ない野菜・果物類を中心に譲許を行なってきた。これまでスイスが締結した33の自由貿易協定のうち、EFTAとして第三国と締結したものが29を占めているとおり、スイスとしてはEFTAの枠組みを利用して、農産品を守りつつ工業製品の自由化を獲得してきた。しかし、メルコスールは乳製品や肉類を主要輸出品とする地域であり、交渉を加速する上で、牛肉などについても自由化を認めざるを得ない状況にあった。

今回の協定により、メルコスールに今回新たに割り当てられるとされる牛肉の低関税輸入枠が、事前協議された量を大幅に超える3,000トンに達する見込みで、スイス国内農家の反発をかっている、と報道されている。このためか、参事会の発表では、農産品に関する譲歩は、協定による自由化で国内農業の持続性に問題が生じないよう、また、スイスの農業政策にも問題を生じさせないよう考えられたもので、そのために各業界との対話も行ってきた、としている。

本FTAは、法的な精査に移り、早ければ2019年末ないし2020年初頭に署名、直ちに議会による承認手続きを開始し、遅くとも2021年までの批准を目指す。

(注)加盟国は、スイス、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン。

(和田恭、マリオ・マルケジニ)

(スイス)

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