経済発展省、2024年までの経済予測を一部下方修正

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年09月02日

ロシア経済発展省は8月26日、2024年までの経済予測の改訂版レポートを発表した(表参照)。4月に公表した予測(2019年4月16日記事参照)を更新したもの。今回の改訂では、2020年の実質GDP成長率を2.0%から1.7%に、鉱工業生産を前年比2.6%から2.4%に、投資を7.0%から5.0%に下方修正している。

表 2024年までのロシアの経済予測

実質賃金については、2019年は1.1%から1.5%に、2020年は2.0%から2.3%へと上方修正された一方、利子の支払いの増加などを背景に、2019年の実質可処分所得は1.0%から0.1%に引き下げられた。実質可処分所得の伸び悩みや国内需要の弱さを反映して、消費者物価上昇率は2019年が4.3%から3.8%に、2020年は3.8%から3.0%に見直され、今後も落ち着くと予想されている。プーチン大統領は8月26日の経済問題に関する会合で、実質可処分所得の伸びの鈍化に懸念を示し、必要な措置を議論するよう促した(「コメルサント」紙8月26日)。

経済発展省はレポートの中で、下方修正の要因として、2020年以降の消費者需要の減退と、デフレの可能性について指摘。加えて、世界貿易における保護主義的な動きもロシアの経済成長リスクの要因の1つとして挙げ、それを克服するには投資の拡大が重要と指摘。投資促進のための重要なポイントして、a.ビジネスに対する過剰な行政管理の軽減、b.地域投資に対する連邦レベルの追加支援、c.新たな財源の確保、d.治安機関と司法制度への信頼の回復などを挙げている。

なお、IMFや世界銀行、ロシア中央銀行なども2019年の実質GDP成長率予測を相次いで引き下げている(2019年8月22日記事参照)。

(加峯あゆみ)

(ロシア)

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