経済発展省、2024年までのロシア経済に影響及ぼす主要指標の予想発表

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年04月16日

ロシア経済発展省は4月9日、2024年までの主要経済指標予測を発表した(表参照)。社会経済発展予測のシナリオ条件とも呼ばれる。2019年通年の主要経済指標については、実質GDP成長率は1.3%、消費者物価上昇率4.3%(前年期末比)、鉱工業生産2.3%増、実質賃金1.1%増、ルーブル為替レート1ドル=65.1ルーブル、ウラル産原油価格は1バレル63.4ドルと予測している。2024年までの予測(シナリオ条件)は表参照のこと。条件の作成に当たって、2018年の結果や最新の統計データ、金融・非金融市場の動向が勘案されている。

表 2024年までのロシアの経済予測

発表された主要指標のうち、原油価格については、2019年第1四半期(1~3月)の平均価格(1バレル63.2ドル)が2024年までの経済予測の平均値に近似している。4月には70ドルまで上昇したが、今後はa.OPEC+の枠組みでの合意が2019年半ばで失効すること、b.米国でのパイプライン経由の世界市場への原油供給量が拡大するため、2019年末に向けて原油価格は値下がりし、2020年は59.7ドル、2024年は53.5ドルとの数字が提示されている。

ルーブルの対ドル為替レートは、2019年第1四半期のレートが1ドル66.2ルーブルで、当初予測(64.2ドル)に比べると弱含みで進んだ。経済発展省は2019年通年では65.1ルーブルと予想。その根拠は、a.ロシア国債への外国投資家の資金の流入、b.金融・財政政策の引き締め、c.資本流出額の減少などにより、ルーブル高に振れるとしている。他方、ルーブル安に振れる主要な要素としては、a.金融財政政策の軟化、b.ロシア中央銀行による為替市場への過剰介入、c.原油やその他資源価格の下落などを挙げている。

消費者物価上昇率は、金融・財政面の引き締め政策によって、2019年上半期は国内需要が軟調となるため、上昇は抑えられるとしている。付加価値税の引き上げなどに起因して3月は前年同月比5.3%となったが、これをピークに落ち着き、通年では前年期末比では4.3%に落ち着くとみている。

2019年の実質GDP成長率は通年でプラス1.3%と見込んでいるが、1~2月で予測を上回るプラス1.1%に達しているため、現在の状況が続けば、次回の予測発表時(8月)に上方修正の可能性があるとしている。

(齋藤寛)

(ロシア)

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