工場内物流システム構築を支援するロシア企業、日本からの調達に関心

(ロシア)

サンクトペテルブルク発

2019年09月06日

ロシアのサンクトペテルブルクは人口500万超を抱える一大消費市場である一方、日本からも大手自動車メーカー2社が進出するなど製造業の集積地という側面もある。同地に所在する企業「セマルグル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」は、そうした製造業を対象に、工場・倉庫内の自動化支援や物流システムなどの提案・構築を行っている企業だ。ジェトロは、10月に長野県で実施される「諏訪圏工業メッセ」に合わせて開催する商談会に、同社をバイヤーとして派遣する。商談会参加の狙いなどを、訪日予定の同社チーフエンジニア、アンドレイ・トゥカチェンコ氏に聞いた(8月27日)。

写真 訪日予定のトゥカチェンコ氏、背景はセマルグルのロゴ(ジェトロ撮影)

訪日予定のトゥカチェンコ氏、背景はセマルグルのロゴ(ジェトロ撮影)

(問)会社の強みは。

(答)自動輸送システムなど、工場・倉庫内システムのプロデュース力だ。当社はプログラマーや建築士といった専門家を擁し、顧客企業の工場・倉庫建設プロジェクトの初期段階から入って総合的にプロデュースできる。特殊な構造であっても対応でき、最近ではショッピングモールからの引き合いもある。年間売上高は6億8,000万ルーブル(約10億8,800万円、1ルーブル=約1.6円)だ。

(問)商談会参加の狙いは。

(答)長く付き合える企業との出会いに期待している。既に一部の日本企業と付き合いがあるが、日本企業とは安定した関係を続けられると認識している。関心のある商材は、工場・倉庫内の装置・システムとして可能性のある商品、特に制御装置、電子部品や基盤、ミス防止システムやセンサー、工作機械・金属加工設備、あるいは工場・倉庫内の管理ソフトウエアだ。商談に当たって日本企業には、英語での会社・商品説明資料と、可能な範囲での技術関連資料を用意してほしい。サンプルもあるとなお良い。

(問)商流と決済は。ロシア国内での流通に必要な認証対応の方針は。

(答)外国から購入する際は、当社パートナーであるロシア側の商社が間に入っている。そのため、日本企業の決済は基本的に同商社と行っていただくことになる。EACマーク(注)を含め、流通に必要な認証の取得などは同商社がサプライヤーと調整して行っている。

(問)今後の会社としての方向性は。

(答)外国(カザフスタン、ベラルーシ)でのプロジェクトもあるが、国内業務が順調なため、当面はロシア国内の市場に注力する方針。一方で、売り上げを2020年に1.5倍、2年後には2倍に拡大する目標を掲げている。その実現に向け、日本企業の技術や製品を基に提案力を強化し、新規案件の獲得につなげたい。

写真 セマルグルのオフィス(ジェトロ撮影)

セマルグルのオフィス(ジェトロ撮影)

(注)ロシアも加盟するユーラシア経済連合(EEU)の認証取得を証明するマーク。輸入する製品によっては、流通前に同マークの貼付が必要。詳細はジェトロウェブサイト2017年1月6日記事参照のこと。

(一瀬友太、アユナ・イダムジャポワ)

(ロシア)

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