労働のみの請負契約を厳格に禁止する法案、年末まで再提出が遅れる可能性

(フィリピン)

マニラ発

2019年09月27日

フィリピンのドゥテルテ大統領が7月26日に拒否権を発動(2019年7月31日記事参照)し、法案を国会に差し戻した「労働のみの請負契約(注)や、短期の雇用契約で解雇と再雇用を繰り返すことを厳格に禁止する法案」(上院第1826号)について、労働雇用省(DOLE)は9月中の再提出を目指していた(2019年8月28日記事参照)が、DOLEのシルベストル・ベリョ長官は9月に入り、再提出する法案の内容の調整に時間がかかり、2019年末まで提出が遅れる見込みだと説明した。

ベリョ長官は地元メディアに対して、雇用者側と被雇用者側双方との調整に手間取っており、財務省(DOF)や国家経済開発庁(NEDA)、貿易産業省(DTI)といった関係省庁との協議も終わっていないとした上で、「仮に法案を提出できたとしても、現在、国会は2020年の国家予算の審議を優先しており、この法案を審議する余裕はないと思われる」と説明した。

国内最大の労働者団体NAGKAISAのホセ・ソニー・マトゥラ会長は9月13日、DOLEが再提出に向けて調整中の法案には、労働のみの請負契約を許容しかねない条項が存在するとし、DOLEに修正を求める意見書を提出したと地元メディアに説明した。

一方で、ロペス長官は9月19日、整理解雇や倒産など雇用者側の都合で解雇する場合に支給される解雇手当について、被雇用者側の都合で辞職する際にも支給されるような法案とするべきだと地元メディアにコメントした。

(注)労働者を派遣請負業者から受け入れた際、請負業者ではなく受け入れ企業が直接指揮監督しているとDOLEが見なした場合、受け入れ企業が派遣労働者の直接の雇用者とされ、自社の社員として雇用する義務を負う。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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