労働のみの請負契約を厳格に禁止する法案、9月再提出の見込み

(フィリピン)

マニラ発

2019年08月28日

フィリピン労働雇用省(DOLE)のベンジョ・サントス・ベナビデズ次官補は8月27日、ドゥテルテ大統領が7月26日に拒否権を発動(2019年7月31日記事参照)し、法案を国会に差し戻した「労働のみの請負契約(注)や、短期の雇用契約で解雇と再雇用を繰り返すことを厳格に禁止する法案」(上院第1826号)について、関連省庁との間で内容を調整・修正した上で、9月までに国会に再提出する方針を示した。

同次官補は、法案の差し戻しが再度起こらないよう、事前に国家経済開発庁(NEDA)や貿易産業省(DTI)、財務省(DOF)と協議し、政府の統一見解を得た後、法案を再提出する意向だとし、「当初8月末までの再提出を目指していたが、NEDA、DTI、DOFなど政府の経済関連省庁の意見を拾う必要があり、再提出は9月にずれ込むだろう」とコメントした。

この法案成立は、2016年大統領選でのドゥテルテ大統領の公約の1つに掲げられていたが、労使の健全なバランスが崩壊し、投資が落ち込むことが予想されることを理由に、法案は国会に差し戻されていた。大統領府はDOLEに対して法案の練り直しと再提出を命じていた。

(注)労働者を派遣請負業者から受け入れた際、請負業者ではなく受け入れ企業が直接指揮監督しているとDOLEが見なした場合、受け入れ企業が派遣労働者の直接の雇用者とされ、自社の社員として雇用する義務を負う。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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