ドゥテルテ大統領、中国のオンラインカジノ取り締まり要望を拒否

(フィリピン)

マニラ発

2019年09月17日

フィリピンのドゥテルテ大統領は9月4日、中国の習近平国家主席と北京で8月29日に会談(2019年9月5日記事参照)した際、フィリピンのオンラインカジノでの中国人による違法営業や不法就労に対するフィリピン政府の取り締まり強化を求める中国側の要望に対して、国内経済や雇用への影響を理由に拒否したと発表した。

大統領は現地メディアに対して、「オンラインカジノ産業がもたらす利益を鑑みるに、オンラインカジノはわが国に必要なものだ」とコメントした。なお、フィリピン国民はオンラインカジノで遊興することは禁じられている。

不動産コンサルティングのリーチウのデビッド・リーチウ最高経営責任者(CEO)は9月1日、「国内のオンラインカジノ業は44万人の雇用を生み出し、年間83億ドルの給与を従業員に支払っている。また、オンラインカジノ業へのオフィス供給面積は106万平方メートルで、国内全体のオフィス供給面積(1,274万平方メートル)の8%に当たり、年間の賃貸料は合計2億1,900万ドルに上る」と地元紙に説明した。

ドゥテルテ大統領の発表を受け、不動産大手企業の株価は翌5日に軒並み値上がりした。フィルインベストとメガワールドは5.6%、D.M.Wenceslao & Associates、ダブルドラゴンプロパティーは3.0%上昇した。

カジノ規制当局のフィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)は8月、労働ビザを保有せずにオンラインカジノで不法就労する中国人が急増していることを背景に、少なくとも2019年末まで営業免許の受け付けを停止すると発表している(2019年9月4日記事参照)。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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