政府がオンラインカジノの取り締まり強化

(フィリピン)

マニラ発

2019年09月04日

フィリピン政府がオンラインカジノ事業者への取り締まりを強化している。労働ビザを保有せずにオンラインカジノで不法就労する中国人が急増していることを背景に、カジノ規制当局のフィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)は8月、少なくとも2019年末までは営業免許の受け付けを停止すると発表した。

PAGCORは現時点で約90社にオンラインカジノの営業免許を交付しているが、免許を受けずに違法で営業する企業を合わせると、国内に300社以上のオンラインカジノ業者が存在し、その大半が中国企業と言われている。省庁間タスク・フォースによると、合法的にオンラインカジノで働く中国人は約14万人、不法滞在で労働ビザを保有せずに働く中国人を合わせると、その数は約40万人に達するとみられている。

在フィリピン中国大使館の関係者は8月、そうした中国人の不法滞在やオンラインカジノでの不法就労への取り締まりの強化をフィリピン政府に求めるとした上で、「中国人による不法就労に関して、効果的かつ具体的な対策を取ることは、合法的にフィリピンに滞在する他の中国人に対する犯罪防止にもつながる」とコメントした。

ロクシン外相は7月、2017年に導入された中国人向けの到着ビザの発給見直しを検討すると発表した。また、ロレンザーナ国防相も同月、地元メディア向けの記者会見で、中国人の不法滞在者の急増や、国軍施設に近接した中華系オンラインカジノ施設の存在が安全保障上のリスクを高めていると指摘し、可能性は低いとしながらも不法就労者やそうした施設がスパイ活動に使われうると警鐘を鳴らした。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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