ドゥテルテ大統領、習近平国家主席と北京で会談

(フィリピン)

マニラ発

2019年09月05日

フィリピンのドゥテルテ大統領は8月29日、北京で中国の習近平国家主席と会談し、両国間の経済協力の強化や南シナ海での天然資源共同開発のための政府間組織の立ち上げなどで合意した。

2016年にオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所で中国側の主張を退ける判決が出された南シナ海問題(2016年7月15日記事参照)が会談で取り上げられたか明らかにされていなかったが、パネロ大統領報道官は9月1日、今回の首脳会談でドゥテルテ大統領が提起したことを発表した。2016年に就任以降、ドゥテルテ大統領は中国との関係改善や同国からの経済支援・協力を重要視し、この問題を棚上げにする姿勢を見せてきた。また、首脳会議では、南シナ海での石油・天然ガスの共同開発のため、両国外務省や資源関係省庁によって構成する政府間組織の立ち上げについて合意した。

ドゥテルテ大統領は会談で、ASEANが7月に採択した南シナ海の行動規範の早期策定の重要性も強調し、両首脳はドゥテルテ大統領の任期が満了する2022年までに行動規範を策定させることで合意した。

会談ではそのほか、次の6件の覚書が締結された。

  1. フィリピン高等教育委員会と中国教育部の高等教育に係る協力
  2. フィリピン科学技術省と中国科学技術部の科学技術分野での協力
  3. フィリピン税関と中国海関総署の協力
  4. 中国商務部の支援によるフィリピン税関のコンテナ検査機の導入
  5. フィリピン財務省と中国国際開発協力庁による中国人民元建て融資の促進
  6. フィリピン国有鉄道と中国国際開発協力庁の優遇的バイヤーズ・クレジット・ローンに関する合意

(坂田和仁)

(フィリピン)

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