滴滴出行、沖縄でも配車サービス開始

(中国)

広州発

2019年08月29日

中国の配車サービス大手の滴滴出行(以下、DiDi)と日本のソフトバンクが出資して設立したDiDiモビリティジャパン(以下、DiDiジャパン)は、8月20日から沖縄県でタクシー配車サービスの提供を開始した。日本で10カ所目(都道府県単位)となる。

DiDiジャパンは、2018年7月に設立。2018年9月に大阪府でサービス開始して以降、日本各地でタクシー事業会社と提携しながら、サービスの対象地域を拡大してきた(表参照)。

今後も、インバウンド需要や、公共交通機関の少ない地域などでの需要に応え、2019年度中に全国13カ所にサービスを拡大する予定だ(DiDiジャパンのプレスリリース8月7日)。

表 DiDiジャパンの各地における配車サービス開始状況

AI技術による利便性向上も

DiDiジャパンの発表によると、2018年10月の国慶節休暇期間中に、大阪で同サービスを利用したユーザーの約5割が中国人だった(注1)。中国人旅行客は、中国でダウンロードしたDiDiアプリを使い、中国語で日本国内のタクシーの配車依頼を行うことができる。アプリを使って乗降車位置を指定すると、人工知能(AI)が最適な走行ルートを提示。タクシー運転手は、アプリから配車依頼とともに走行ルートなどの指示を受け取る。カスタマーサービスは24時間対応しているため、旅行者にとっても心強い。

また、アプリには、2019年7月10日からタクシー運転手向けに、ハンズフリーで音声操作できる機能も搭載された。運転手は走行中でも「了解しました」と応答するだけで、配車依頼を受け付けることできる。AI技術により、乗客とタクシーをよりスムーズにマッチングすることが可能となった。

日本では、中国からの訪日旅行客数が増加する中で、首都圏のみならず地方観光の人気も高まっている。より利便性の高い交通手段を提供することで、インバウンド需要のさらなる拡大および地域活性化への貢献も期待される。

国際展開が注目される

DiDiは2018年以降、国際展開を加速しており、同社のサービスは世界1,000都市以上に拡大。利用者は5億5,000万人を超えている(2019年5月時点)。アジア・オセアニア地域では、日本のほか台湾、オーストラリアでも展開している。中南米では、ブラジル配車サービス大手の「99」を買収したほか、メキシコ(2018年5月1日記事参照)、ブラジル、チリ(2019年6月18日記事参照)、コロンビアでも積極的に展開している。

中国政府も同社の海外展開を後押ししており、習近平国家主席が2018年12月にパナマを訪問した際に、同社幹部が随行して、パナマの交通、経済貿易部門や研究機関との協力関係を築いた(注2)。

(注1)DiDiジャパン「2018年10月国慶節休暇期間中の大阪における中国人ユーザーの利用動向」(2018年10月25日)。

(注2)国家情報センターシェア経済研究センター「中国シェア経済発展年度報告(2019)」。

(盧真)

(中国)

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