中国の滴滴出行、チリのバルパライソで配車サービス開始

(チリ)

サンティアゴ発

2019年06月18日

中国の配車サービス大手の滴滴出行(DiDi、以下、滴滴)が6月3日、チリで配車サービスを開始した。首都サンティアゴから近く、国内有数の貿易拠点であるバルパライソコムーナ(注)をはじめ、ビーニャデルマル、コンコン、キルプエなど近隣コムーナで利用可能となっている。滴滴は既にチリで配車サービスを運営しているウーバー(Uber)、キャビファイ(Cabify)に比べ利用料金が低価格であることや、運転手の大きなメリットとして、滴滴が徴収する手数料が利用料の10%である点が魅力となっている(ウーバーは25%、キャビファイは15~25%)。乗客とドライバーの保険は同社が負担、電話によるカスタマーサービスを提供することや、現場で緊急事態が起こった場合にオンラインとオフラインで対応するサービスを提供する。

滴滴チリのフェリペ・コントレラス・コミュニケーションマネジャーはサービス開始に当たり、首都サンティアゴを選ばなかった理由について、チリの市場を把握すべく、サンティアゴほど大きくない都市を選んだと述べている。

ウーバーやキャビファイがチリ市場に参入してからというものの、「白タク」に対する規制がないチリでは、タクシー運転手との衝突がたびたび問題になっており、死者も出ていることから、政府は法の整備を急いでいる。「有料旅客輸送アプリケーションとそれを介して提供されるサービスに対する規制法案」が4月3日に下院で可決され、上院で現在審議中となっている。同法が施行された場合、運転手は普通運転免許ではなく、特別運転免許(A-1、A-2、A-3)を所持していなければならず、運輸通信省が管轄する登録簿に車両や個人を登録する必要がある。また、会社側は運転手と乗客のための民事責任保険に加入しなければならないなど規制が強化されるため、これらに対応できるかどうかがチリ市場で生き残るカギとなる。

なお、滴滴は6月6日付のプレスリリースで、コロンビアの首都ボゴタでも6月4日から配車サービスを開始したと発表している。

(注)コムーナとは、国の地方行政の基本単位のこと。

(岡戸美澪)

(チリ)

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