中国の滴滴出行がメキシコでサービスを開始

(メキシコ)

メキシコ発

2018年05月01日

中国の配車サービス最大手の滴滴出行は4月23日、首都メキシコ市に隣接するメキシコ州の州都であるトルーカをパイロット拠点としてサービスを開始した。滴滴出行は1日に乗車回数3,000万回、乗客数4億5,000万人、運転手数2,100万人を抱える配車サービス企業(4月23日付プレスリリース)。「中国、カリフォルニア、メキシコの調査チームによる慎重な調査の結果、メキシコ市場に参入することを決定した」とし、これまで香港、台湾、日本とサービスを展開してきた同社が、初めてのアジア以外の進出先としてメキシコを選んだことを発表した。また、2018年後半には他のメキシコの主要都市にサービスを展開したいとしている。

中南米の配車サービス市場では、米大手のウーバーがシェアを獲得しており、その中でもメキシコは87%と最も高い(表参照)。

表 中南米の配車サービスシェア

ウーバーの2017年7月26日付プレスリリースによると、同社はメキシコでのサービス開始後4年間に23億ペソ(約133億4,000万円、1ペソ=約5.8円)を投資してきたが、2018年までに50万人の雇用を創出し、運転手やユーザーへのプロモーション、アプリのサポート費用、メキシコ国内への新規事業所設立、拡張などの目的で68億ペソを追加投資する、としている。

安全システムや運転手インセンティブで差別化図る

ウーバーは、サービス依頼時に運転手の名前やナンバープレートが表示されることから、流しのタクシーよりも安全とされるが、運転手による乗客への強盗事件も起きており、モラル教育は課題として残っている。このような状況を受けて滴滴出行はメキシコ進出のカギとなる機能について、緊急事態の際にボタン1つで警察に連絡できる「リアルタイムSOSシステム」や、365日24時間対応のカスタマーサポートを挙げており、安全面でウーバーとの差別化を図ろうとしている。

また、各乗車に対して一定の割合の金額がウーバーや滴滴出行といった配車サービス運営会社に支払われ、残りが運転手に渡るというビジネスモデルだが、滴滴出行は6月17日まで各運転手が運賃を全額受け取ることができる、というインセンティブを付けて運転手を募集している。6月18日からは滴滴出行も料金を徴取するものの、ウーバーが運賃の25%を徴取しているのに対し滴滴出行は20%とするなど、運転手の待遇についても差別化を図っている(「エル・エコノミスタ」紙4月24日)。

(岩田理)

(メキシコ)

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