廃プラ規制、日本のリサイクル技術に商機

(ベトナム)

ホーチミン発

2019年08月30日

ベトナム政府は2018年から、廃プラスチック(以下、廃プラ)の輸入規制を厳格化している(注1)。2019年6月には、プラスチック製品の使用削減に向けた方針を表明した。国内のプラスチック産業への影響が懸念される中、ジェトロはベトナム・プラスチック協会(注2)のフイン・ティ・ミイ事務局長に、ベトナムの廃プラ輸入規制の現状や国内プラスチック産業の今後についてインタビューした(8月9日実施)。

ミイ氏は「現在、廃プラの輸入者は工場を有する製造者に限定されている。工場は環境基準を満たすライセンスを取得し、廃プラを製造用原料として輸入し、完成品(最終財)まで製造できることが必要だ」と輸入時の注意点を挙げた。また、この規制による企業への影響について、「環境基準を満たさない企業の輸入ライセンスは取り消された。環境基準を満たすものの、完成品を製造できない約30社には、移行措置として2024年まで製造と輸入が認められることとなった。これは、国内に完成品を製造するノウハウを有する企業が少ないためだ。新規で廃プラを加工する工場を建設する場合は、完成品の製造が必須条件だ」と説明した。他方、「最終財の製造技術やノウハウを有する日系企業にとっては、競争相手となる企業が少なく引き合いが増えるなど、ビジネスチャンスとなる可能性がある」とミイ氏はみている。

プラスチック産業の今後について、同氏は「政府は使い捨てプラスチック製品の使用を削減する方針だが、需要は依然として高い。また、環境負荷が少ない素材の包装容器は価格が高い。そのため、消費者のリサイクルに対する啓蒙(けいもう)とメーカー側での技術向上が不可欠」という。「日本のリサイクル技術は進んでいるため、日系企業による関連分野への投資拡大やベトナム企業との協業、当協会と日本の専門家との協力を望む」と期待を示した。

(注1)概要は2018年6月12日2018年8月1日2018年9月27日2019年4月19日2019年5月20日記事を参照。

(注2)同協会は、関連情報提供(同協会ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、海外展示会出展サポート、企業交流会などを行う。外資系プラスチック関連企業の照会には英語で対応する(info@vpas.vn外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(小林亜紀、ダン・ティ・ゴック・スオン)

(ベトナム)

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