輸入廃プラスチックなどが物流に影響、税関検査を強化

(ベトナム)

ホーチミン発

2018年08月01日

ベトナムでは、外国から港に届く大量の輸入廃プラスチックなどのコンテナが問題となっており(2018年6月12日記事参照)、環境への懸念が強まっているほか、港湾運営にも支障が出ている。このため、ベトナム税関総局は6月26日に指示文書を発出し、輸入廃棄物に対する税関検査を強化した。

港の混雑とコスト増の要因にも

税関総局は、2015年に輸入廃棄物を100%検査するとした指示文書(6037/TCHQ-GSQL)を出していたが、2018年6月26日にあらためて各税関支局に対し、輸入廃棄物の検査管理強化を指示した文書(3738/TCHQ-GSQL)を発出した。同文書によると、廃棄物の輸入時は、通関手続き時に見本検査を実施し、その際に必ず写真を撮って記録する。中古品については、使用目的・製品名・商品コードの記載の有無にかかわらず、輸入可能リスト(首相決定73/2014/QD-TTg付録)に含まれない、またはその疑いがあるものは見本を採取し、廃棄物に該当するかどうか判断する。一連の検査の実施により、通関所要時間が増加することが懸念される。

また、7月24日付の税関オンラインニュースによると、廃棄物を積載したコンテナが検査を待つ間の貨物の保管配送も問題となっている。廃棄物の輸入管理監視に関する通達(41/2015/TT-BTNMT)では、「輸入廃棄物の環境適合性に関する通関検査は、輸入国境ゲートの税関官署で行う」と規定する。同規定の解釈は、(1)輸入申告後、検査を待つ間保管のため貨物を移動させることができる、(2)検査終了まで国境ゲートに貨物を留め置く必要がある、の2つに分かれており、後者の場合はビジネスコストを増加させる要因になる。

首相は廃棄物輸入の規制の必要性を強調

天然資源環境省は、主要港における廃棄物を積載したコンテナの滞留状況を報告しており、地方別ではホーチミン市内の港湾で約4,480個(うち、カットライ港が約3,500個)、ハイフォン港で約1,200個が滞留し、貨物の内訳は約8割が廃プラスチック、約2割が再生紙原料だった(「ベトナムニュース・オンライン」7月26日)。グエン・スアン・フック首相は7月25日の閣僚会合で、輸入割当の記載がない許可証の更新および廃棄物輸入ライセンスの新規発行禁止の必要性を強調した。今後、関係各省庁の責任を明確にするための首相指示を発出の予定としている。

(小林亜紀、ダン・ティ・ゴック・スオン)

(ベトナム)

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