インド国鉄、10月から施設内での使い捨てプラスチック使用禁止へ

(インド)

ムンバイ発

2019年08月30日

インド鉄道省は8月21日、インド国鉄施設内での厚さ50ミクロン以下の使い捨て(single use)プラスチック製品の使用を10月2日から禁止する通達外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。通達では、売店でプラスチック製レジ袋を使用しないよう要請するとともに、職員にもエコバッグの利用を求めている。また、チケットのオンライン予約などを行うインド国鉄の子会社インディアン・レールウェイ・ケータリング・アンド・ツーリズム(IRCTC)は、拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility:EPR)の一環として、使用済みペットボトルの回収を行うこととした。約360の主要駅には使用済みペットボトル回収のための粉砕機を設置する予定となっている。

ナレンドラ・モディ首相はこの通達に先立つ8月15日の独立記念日の演説で、「マハトマ・ガンディーの誕生日である10月2日を期して、使い捨てプラスチック製品の使用をやめるための大きな一歩を踏み出そう」と述べており(2019年8月21日記事参照)、今回の措置はこれを受けたものとみられる。

インド全土を対象としたプラスチック規制は初めて

インドでは、プラスチック製品に対する州ごとの規制は既に見られる。マハーラーシュトラ(MH)州が2018年6月に使い捨てプラスチックなどに関する規制を施行しており(2018年7月27日記事参照)、スーパーマーケットなどではレジ袋が支給されなくなり、ストローが紙製になるなど、日常生活に大きな変化が出ている。同様にタミル・ナドゥ州でも、プラスチック規制が1月から施行されている(2019年1月23日記事参照)。

インド国鉄が今回導入する規制は、インド全土を対象とした初めてのプラスチック規制だ。実際にどれほど厳密に運用されるかは不明だが、プラスチック規制を導入済みのMH州では、違反した場合に初回5,000ルピー(約7,500円、1ルピー=約1.5円)、2回目は1万ルピー、3回目が3カ月の禁固刑と2万5,000ルピーの罰金と定めており、既に規制による効果は見られつつある。こうした新たな規制の導入は産業界にとっては商機ともなり得ることから、今後もインドのプラスチック規制から目が離せない。

(比佐建二郎)

(インド)

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