海南省、外国人による入国や居留、自動車運転の要件を緩和

(中国)

広州発

2019年08月01日

中国公安部は7月3日、海南省の自由貿易試験区(2018年10月26日記事参照)の建設を支援するため、外国人に対し、ビザの免除要件、居留許可証、ならびに臨時運転免許の取得要件を緩和すると発表した。

ビザ免除や居留許可証の要件を緩和

海南省は、観光目的で最長30日間滞在する、59カ国からの外国人に対してビザを免除している(2018年4月20日記事参照)。このたび、ビザ免除の要件をさらに緩和し、貿易、商業活動以外での訪問(親族訪問を含む)、医療、展示会、スポーツ競技会への参加などで入国する場合もビザが免除される。

国家移民管理局外国人管理司の賈同斌副司長は、7月3日の公安部による記者会見の際に、海南省で就労、投資、起業、実習する以下の外国人に対し、居留許可証の取得要件を緩和する、と発表した。

  1. 高級技術者や管理者など、国内で不足する人材がイミグレーションで必要書類をもとに到着ビザ(注1)を申請し、入国後、5年間有効の長期ビザと居留許可証(注2)を取得できる。ハイレベル人材が雇用する外国籍ハウスキーパーにも居留許可証を発給する。
  2. 同省の高級ホテルで就労する料理人、博鰲国際医療旅行先行区(注3)で就労する医療技術者は、契約期間に合わせて居留許可証を取得できる。
  3. 中国の大学で修士号を取得した外国人留学生が同省で起業する場合、大学の推薦を得ることで、2年以内の居留許可証を取得できる。また、海外の大学に在籍する外国人留学生が同省のホテル、病院、国際学校で実習する場合、実習ビザを申請できる。

臨時運転免許の取得要件も緩和に

中国は、道路交通に関するジュネーブ条約に加盟していないため、同国内で外国人が国際運転免許証により自動車を運転することは認められていない。外国人が同国内で運転する場合は、同国の運転免許証を取得するか、または臨時運転許可(注4)を申請する必要があり、手続きが煩雑だ。

7月3日の記者会見で、公安部交通管理局の王強副局長は「同省で臨時運転許可を取得する外国人に対し、2019年8月1日から緩和措置が実施される」と述べた。具体的には、(1)有効期間3カ月以内の短期のビザまたは居留許可証を持つ外国人は、現地の病院で身体検査を行わずに、旅券および出身国の運転免許証を有していれば、最長3カ月有効の臨時運転許可を取得できる。また、(2)3カ月を超える場合は、臨時運転許可の有効期間を最長1年間まで延長できる(ただし、ビザの有効期間内)。なお、臨時運転許可は、有効期間内であれば、再入国しても引き続き有効で、あらためて申請する必要がない。

円滑な実施には細則だけでなく、現地の公安庁による具体的な申請方法の明確化も必要となる。

(注1)海南省外事弁公室によると、到着ビザを申請する場合、(1)旅券、(2) 到着ビザ申請書、(3)写真、(4)招聘(しょうへい)状の4点を提出する必要がある。なお、日本国籍の人は、海南省を含む中国への渡航目的が観光・商用・トランジットの場合、出入国日を含めて15日以内の滞在であれば、ビザは不要(事前申告も不要)だ。

(注2)海南省外事弁公室によると、経済発展に貢献できる外国のハイレベル人材と不足人材は、外国専門家局に確認した後、有効期限5~10年、複数回入国が可能な人材Rビザを申請できる。連続した居留期間が180日以下の場合(居留期間が180日となる前にいったん出国すれば)、工作許可証および居留許可証は不要となる。

(注3)海南省はリゾート地としての価値を高めるため医療観光に注力しており、2013年に中国国務院から承認を得て、国際的な医療観光施設である「博鰲国際医療旅行先行区」を設立した。ここには、医療健康プロジェクト、養老施設などが集積しつつある。

(注4)在中国日本大使館外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、中国では、日本の運転免許証所持者(無査証入国者は対象外)は、3カ月以内の短期ビザまたは居留許可があれば、臨時運転許可を取得した上で、レンタカーの運転が可能。

(盧真)

(中国)

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