海南省に12カ所目の自由貿易試験区設立

(中国)

北京発

2018年10月26日

国務院は10月16日、中国(海南)自由貿易試験区の設立に同意し、「中国(海南)自由貿易試験区全体方案」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、方案)を公布した。自由貿易試験区としては12カ所目となる。同試験区の設置は、習近平国家主席が4月に、海南省に自由貿易試験区と自由貿易港を設立すると発表したことを受けたもの(2018年4月20日記事参照)。

方案では、2020年までに国際的な開放度が高く質の高い自由貿易試験区を建設し、着実に海南自由貿易港を建設し、段階的に自由貿易港政策システムを構築していくための基礎を固めることを目標に掲げた。

通信業などの外資参入規制を緩和

また、他の自由貿易試験区と同様、外資参入について規制緩和が打ち出された。特にインターネットなど増値(付加価値)電信業務について、審査・認可権限を中央政府から海南省に委譲したほか、同業務のうち、国内マルチ通信サービス業務、ネット接続サービス業務、データ保存・転送類業務において外資の出資比率規制を撤廃し、外資系企業が国内VPN(注1)業務に投資(出資比率は50%以下)することを許可するとした(注2)。また、同試験区内に設立された外資単独資本の建築会社が域内の建設プロジェクトを請け負う場合は、出資比率の制限を受けないとされた。

ほかにも、自由貿易協定(FTA)における原産地の自主申告・事前裁定制度の推進、越境サービス取引ネガティブリスト管理制度(注3)の設立、一部の医療機器の関税率引き下げの検討、国際船舶輸送能力の向上、ハイエンドな観光サービス能力の引き上げ、科学技術イノベーションにおける国際協力強化など多岐にわたる措置が打ち出された。

国務院は、他の自由貿易試験区で試行した措置を4度にわたって全国に展開しており、中国(海南)自由貿易試験区において打ち出された規制緩和・自由化の動向には引き続き注視が必要となる。

海南省の瀋丹陽副省長は方案の発表を受け、「海南ビジネス環境最適化行動計画40条」を近く公布予定であると明らかにしており、今後方案を具体化する取り組みが本格化していくものとみられる。

(注1)インターネット上に仮想的に構築されたプライベートネットワーク。

(注2)2018年7月28日に施行された「外商投資参入ネガティブリスト(2018年版)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」および自由貿易試験区に適用される「自由貿易試験区外商投資参入ネガティブリスト(2018年版)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(7月30日施行)において、電子商取引を除く付加価値電信業務の外資出資比率は50%以下と定められているほか、中国(上海)自由貿易試験区においては、一部の付加価値電信業務について、外資による50%以上の出資を認めている。なお、電信業務の分類、各業務の定義については「電信業務分類目録(2015年版)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に記載されている。

(注3)中国(上海)自由貿易試験区においては、越境サービス取引ネガティブリストPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が公布されており、11月1日から実施される。

(小宮昇平)

(中国)

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