ウズベキスタン、アフガニスタンとの経済交流を活発化

(ウズベキスタン、アフガニスタン)

タシケント発

2019年08月02日

ウズベキスタンの首都タシケントで7月17日、第1回ウズベキスタン・アフガニスタン貿易経済協力政府間委員会会合が開催され、両国の経済関係の発展について議論がなされた。

ウズベキスタンは共同事業の可能性がある分野として以下を提示した。a.ウズベキスタン南部テルメズの国際ロジスティクスセンター「テルメズ・カーゴ」の活用、b.「ウズオート」(2019年7月11日記事参照)乗用車のアフガニスタンでの組み立て、c.石油製品・食用アルコールの輸出(注1)、d.アフガニスタン北部マザリシャリフ繊維工場のリハビリ(注2)、e.植物油製造、f.エネルギー輸送関連機器製造など。一方、アフガニスタンはウズベキスタンの技術支援を得ての、g.アフガニスタン国内の鉄鉱石鉱脈、h.西部ヘラート州ティルプリ石油・ガス田の探査を提案した。

両国は輸送インフラ分野での協力促進でも一致している。鉄道分野では、ウズベキスタン鉄道がトランジット貨物増のため、カザフスタンからアフガニスタン向けの穀物と小麦粉の輸送に関し20%の割引輸送料金を適用しており、引き続きその他周辺国からの中継貨物にも割引料金の適用を拡大する。ウズベキスタン政府は2018年12月にマザリシャリフ~アフガニスタン西部ヘラート間の鉄道建設事業に合意しており、協力を推進する。航空運送では、2017年11月からアフガニスタンのカム航空によるカブール~タシケント便が就航、マザリシャリフ~タシケント便の就航(週2、3便)が現在検討されているほか、カブールと欧州(ロンドンやフランクフルト)を結ぶ中継地としてタシケント空港を利用する構想も生まれている。電力輸送分野では現在、ウズベキスタンがカブール市内に電力を供給しており、送電網増強のため、スルハン(ウズベキスタン・カシュカダリヤ州)~ポレ・ホムリ(カブール北方)区間の高圧電線の敷設を進める(注3)。両政府は両国間の貿易額を2018年の6億ドルから近い将来に15億ドルまで引き上げることで合意している。

ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領はアフガニスタンの安定に積極的に協力する方針を示しており、経済分野以外でもアフガニスタンの発展にウズベキスタンが果たす役割が大きくなりつつある。テルメズでは2018年1月にアフガニスタンの若者向けに中・高等、専門教育などを実施するセンターが開設されるなど、国際機関を通じたさまざまな援助も展開されている。

写真 両政府間会合に合わせ、「アフガニスタン・トレードフェア」も開催(ジェトロ撮影)

両政府間会合に合わせ、「アフガニスタン・トレードフェア」も開催(ジェトロ撮影)

写真 アフガニスタンから60社程度が参加(ジェトロ撮影)

アフガニスタンから60社程度が参加(ジェトロ撮影)

(注1)合意がまとまり次第、2020年からウズベキスタン東部のフェルガナ製油所から100万トンの石油製品が輸出される予定と報道されている(「経済観測」誌7月24日など)。

(注2)マザリシャリフはウズベキスタンとの国境に一番近い町。対ウズベキスタン貿易の起点となることから、ウズベキスタンとの共同プロジェクトに選ばれたものと思われる。

(注3)スルハン~バルフ(マザリシャリフ近郊)区間(85キロ)の技術調査は終了しており、今後、サマンガン~バグラン区間(116キロ)の調査を予定。中央アジアからの電力輸出拡大も想定されている(2019年7月12日記事参照)。

(高橋淳)

(ウズベキスタン、アフガニスタン)

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