中央アジアでの電力共通市場創設に向けた協力で合意

(ウズベキスタン、ロシア、CIS、アフガニスタン)

タシケント発

2019年07月12日

中央アジア5カ国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)は、域内での電力共通市場創設に向け協力することで合意した。各国が電力を融通することで、地域の電力供給が安定し、域外への電力輸出も促進される可能性がある。

中央アジア5カ国の電力分野の政府関係者は7月4日、トルコのイスタンブールで開催された第2回「電力分野の改革に関する中央アジア会議」の枠内で、「電力の共通市場創設とエネルギー改革分野での地域協力に関する共同宣言」に署名した。この会議では、地域内での電力送電網の統合や協力の方向性について議論が交わされた。

ウズベキスタン政府は、電力分野での協力・統合に向けた議論を主導している。エネルギー省のシェルザド・ホジャエフ副大臣はメディアとのインタビューの中で、a.ソ連解体後の困難な時期にも、中央アジア各国が電力を融通し合った実績がある、b.各国は送電網でつながっており、現在も送電網の強化が続いている、c.ウズベキスタンはカザフスタン、キルギス、タジキスタンとの協力を活発に進めており、トルクメニスタンも徐々に参加意欲を強めていることなどを挙げ、今後の協力の深化に自信をみせた(ポータルサイト「パドロブノ・ウズ」6月28日)。ホジャエフ副大臣によれば、中央アジア各国は、地域の発電能力増強の共同戦略策定の可能性について、2019年末まで議論することで合意した。

「電力分野の改革に関する中央アジア会議」には、中央アジア5カ国のほか、アフガニスタンも参加した。域内の電力融通の効率化や(最終的な)電力の共通市場創設などを通じ、キルギスやタジキスタンへの電力の安定供給、トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタンなどからのアフガニスタンに向けた電力輸出(注)の増加で、各国が外貨獲得の機会を得られる可能性がある(2018年11月19日記事参照)。アジア開発銀行(ADB)などの国際機関も同構想を積極的に支援している。

なお、カザフスタンとキルギスが加盟し、ロシアが主導するユーラシア経済連合(EEU)でも、2019年5月にアルメニアとベラルーシを加えた加盟5カ国間で電力共通市場の創設に関する国際条約が調印されるなど(2019年5月31日記事参照)、ロシアCIS地域では電力市場統合に向け、さまざまな試みが行われている。

(注)在タシケントの専門家(地域経済統合)は、中央アジア系住民が多く住むアフガニスタン北部は比較的治安が落ち着いており、送電網に対するテロ攻撃なども少ないとしている。

(高橋淳)

(ウズベキスタン、ロシア、CIS、アフガニスタン)

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