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第1回カスピ海経済フォーラムがトルクメニスタンで開催、地域初の議論の場として期待

(トルクメニスタン、アゼルバイジャン、イラン、ロシア、カザフスタン)

タシケント発

2019年08月16日

トルクメニスタン西部のトルクメンバシ市近郊の町アワザで8月12日、第1回カスピ海経済フォーラムが開催された。トルクメニスタンのグルバングルィ・ベルディムハメドフ大統領、アゼルバイジャンのノブルス・マメドフ首相、イランのエスハグ・ジャハンギリ第1副大統領、ロシアのドミトリー・メドベージェフ首相、カザフスタンのアスカル・マミン首相(注1)が参加し、今後のカスピ海地域経済協力に関してスピーチを行った。

トルクメニスタンのベルディムハメドフ大統領は、この経済フォーラムが長期的なカスピ海沿岸諸国の価値観・目的の共有、課題解決に向けた国際プラットフォームとなることを期待すると発言。自然保全やエネルギー、物流(トランジット)、貿易分野などでの相互協力の重要性に触れ、物流では各国が参画する「国際ロジスティクスセンター」、上記の各分野の技術的な問題に対応し共同研究を行う「国際イノベーションセンター」の創設を提案した。

アゼルバイジャンのマメドフ首相は、物流に力点を置いたスピーチで、同国は国際輸送構想「東西」「南北」を振興し、2018年の輸送実績で非石油分野のシェアの増加とロシア・イランをつなぐ「南北」輸送路の輸送量が大幅に伸びたことを報告。バクー国際商業港の能力を引き続き拡大する意向を表明した。

イランのジャハンギリ第1副大統領は、同国企業が製造、資源開発など多様な分野で優れた技術・可能性を有しており、多分野での交流を進めるため民間分野の発展が重要と発言。現在、米国がイランに課している経済制裁は地域の不安定化につながるとして、米国を非難した。

カザフスタンのマミン首相は外国投資誘致の重要性に触れ、同国が推進する「アスタナ金融センター」の役割について述べた。産業分野〔共通の「カスピ海」ブランド(注2)の創設〕、人材育成、エコロジー(再生エネルギーの共同研究など)、資源(埋蔵量のモニタリングなど)の分野で共通の組織を創設することや、観光分野でウズベキスタンと現在進めている両国共通の「シルクビザ」構想(2019年1月21日記事参照)をカスピ海沿岸国にも拡大することを提案した。

ロシアのメドベージェフ首相は、カスピ海地域開発に当たって環境を重視すべきこと、資源開発から経済のデジタル化やトランジット輸送・観光産業振興へのシフトが21世紀の開発にふさわしい在り方だと発言。ロシア南部アストラハンを中心に物流インフラ開発に取り組むことや、イノベーション分野のロシア企業による貢献の可能性、観光分野で黒海とカスピ海をつなぐクルーズ船を建造中であることなどに触れた(2018年11月16日記事参照)。

写真 フォーラム会場。ベルディムハメドフ・トルクメニスタン大統領のスピーチ(ジェトロ撮影)

フォーラム会場。ベルディムハメドフ・トルクメニスタン大統領のスピーチ(ジェトロ撮影)

カスピ海経済フォーラムは、2018年8月に「カスピ海の法的地位に関する協定」(注3)が沿岸5カ国で署名されたことを契機に、トルクメニスタン大統領の提案で年1回の開催が決定(2018年8月13日記事参照)。メドベージェフ首相はスピーチの中で、第2回フォーラムはアストラハンで予定していることを発表した。

一般の参加者や各分科会のスピーカーからは、「初めてこの地域の経済協力を官民で議論する場が設定された」「これを契機に中央アジア地域の他地域との経済連携(統合)が進む」とのコメントがあり、フォーラムの意義を高く評価する声が多かった。

写真 フォーラム会場となったカスピ海沿岸の保養地アワザ。ホテル群が並ぶ(ジェトロ撮影)

フォーラム会場となったカスピ海沿岸の保養地アワザ。ホテル群が並ぶ(ジェトロ撮影)

(注1)首脳級ではこのほか、ウズベキスタンのアブドゥラ・アリポフ首相、ブルガリアのボイコ・ボリソフ首相が出席した。

(注2)個別の国名にこだわらず、「カスピ海」として商品をブランド化する試み。

(注3)同協定の国内批准作業につき、カザフスタンのマミン首相はフォーラムでの質疑応答の中で、アゼルバイジャンとカザフスタン、トルクメニスタンは批准完了とコメント。ロシアのメドベージェフ首相はスピーチで2019年内に批准作業を終了するとの見通しを述べている。

(高橋淳)

(トルクメニスタン、アゼルバイジャン、イラン、ロシア、カザフスタン)

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