「アルクティクLNG2」プロジェクト、JOGMECや三井物産などへの事業権益売却が完了
(ロシア、日本、中国)
欧州ロシアCIS課
2019年07月23日
ロシア北西部・北極圏のヤマロ・ネネツ自治管区で天然ガス採掘を行う独立系天然ガス開発会社ノワテクは7月22日、「アルクティクLNG2」プロジェクトの事業権益30%を、三井物産と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)による共同出資会社「ジャパン・アルクティクLNG」(注1)、中国石油天然気集団(CNPC)、中国海洋石油集団(CNOOC)に売却する取引を完了したと発表した。これにより、「アルクティクLNG2」プロジェクトの権益持ち分構成は、ノワテク60%、フランスのエネルギー開発大手トタル10%、ジャパン・アルクティクLNG10%、CNPC10%、CNOOC10%となった(注2)。
「アルクティクLNG2」プロジェクトはヤマロ・ネネツ自治管区のギダン半島ウトレンニエ鉱区に立地する年産660万トンの天然ガス液化設備を3系列建設するプロジェクト(総生産能力は年産1,980万トン)。2018年12月31日時点の同鉱区の推定埋蔵量は天然ガス1兆1,380億立方メートル、液体炭化水素5,700万トン。
ノワテクのレオニード・ミヘルソン会長は「取引が成功裏に完了し、『アルクティクLNG2』プロジェクトの出資者が出そろったことで、投資決定が行えるようになった。ノワテク自体は売却資金を得たことで新規プロジェクトに取り組める」と述べた。
今回の三井物産、JOGMEC、ノワテクの3社による取引は6月29日、G20大阪サミット(首脳会議)の際に会談した日ロ両国首脳の面前で署名された(2019年7月17日記事参照)。三井物産によると、LNG(液化天然ガス)生産開始見込みは2023年ごろで、LNGは北極海航路を通じて、アジアや欧州を中心に供給されるとしている。JOGMECは、日本企業がこのプロジェクトに参加することで日本へのLNGの安定供給と供給源多様化に大いに貢献するものと評している。
(注1)株式構成はJOGMEC75%、三井物産25%(議決権は三井物産50%超、JOGMEC50%未満)。設立は2019年5月。所在地はオランダ・アムステルダム。
(注2)3月に、ノワテクとトタルは10%の事業権益売買契約を締結していた(2019年3月7日記事参照)。
(齋藤寛)
(ロシア、日本、中国)
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