米CSISグッドマン氏、米中両国の対立激化を回避と米中首脳会談に一定の評価

(米国、中国)

ニューヨーク発

2019年07月05日

ジェトロは7月3日、ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)上級バイスプレデント兼政治経済担当部長兼アジア経済上級アドバイザーのマシュー・グッドマン氏に、G20大阪サミット(首脳会議)に合わせて行われた米中首脳会談の結果に関する見方を聞いた。同氏によるG20大阪サミットの成果については2019年7月4日記事を参照

(問)米中首脳会談の結果をどう評価するか。

(答)米国が中国に対するリスト4の対象品目への追加関税賦課を見送り(2019年7月1日記事参照)、両国が貿易交渉の再開で合意し、対立の激化が避けられた点は良い側面だ。しかし、具体的な交渉期限や交渉内容については何も発表されておらず、見通しは不透明なままだ。具体的に挙げられたのは、トランプ政権が繰り返し成果として主張してきた中国による米国産農産品の輸入拡大だが、これも規模感は不明だ。

また、トランプ大統領が華為技術(ファーウェイ)に対する輸出規制の緩和を示唆したが、これは非常に大きな問題だ。ファーウェイの問題はあくまでも国家安全保障に関わる話であり、本来は貿易交渉の材料とされるべきではなく、貿易とは切り離して考えなければならない。米議会の共和党、民主党ともに、ファーウェイへの強硬姿勢を弱めるべきでないとの意見が強く、マルコ・ルビオ上院議員(共和党、フロリダ州)やチャック・シューマー上院少数党院内総務(民主党、ニューヨーク州)が規制緩和に反対の意向を示している。輸出規制緩和の詳細な内容はまだ発表されていないが、議会や政権内の反発を考慮すると、ファーウェイがエンティティー・リスト(EL)から除外される可能性は低いだろう(注)。可能性の1つとして、ファーウェイをELに加えたまま、同社との取引を許可するライセンス取得条件を緩和するという措置が考えられる。

(注)トランプ政権は5月15日、ファーウェイおよび関連68社を、米国製品の輸出規制対象として商務省が管理するELに追加し、それら企業への輸出は原則不許可との扱いにした(2019年5月16日記事参照)。ただし、その4日後の5月20日、条件付きで規制の一部を90日間(5月20日~8月19日)猶予する措置を発表している(2019年5月21日記事参照)。

(須貝智也)

(米国、中国)

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