バージニア州が「ビジネスに最適」な州の全米首位に、CNBC調査

(米国)

ニューヨーク発

2019年07月18日

ビジネスニュース専門放送局CNBCは7月10日、「ビジネスに最適」な州ランキング調査の結果を発表し、2019年はバージニア州が1位となった(表参照)。前回(2018年)首位のテキサス州を抜き、2011年以来8年ぶりのトップとなった。

表 ビジネスに最適な州ランキング(2019年)

近年は「労働力」重視の傾向続く

2007年に開始されてから13回目となる同調査は、ビジネスを行う上で重要と思われる10分野64項目(労働力、経済、インフラなど)を数値化し、その現状を州ごとに比較する。満点は2,500ポイントで、各分野の点数配分は、州政府が発行する経済開発関連資料などで各州がセールスポイントとして取り上げた頻度に応じて、毎年変動する。

2019年は「労働力」が450ポイントと最も高い点数配分となった(図参照)。2015年以降は「労働力」重視の傾向が続いており、常にトップに位置付けられる。失業率が低水準で推移する中、企業は良質な労働力確保に苦慮しており、多くの州がセールスポイントに取り上げた結果が反映されたものとみられる。デロイトおよび製造協会が実施した調査によると、製造業企業が求人から採用に至るまでに要する平均日数は、2018年に90日と2015年(48日)から大幅に長期化している。

また、ジェトロが2月に実施した米国進出日系企業実態調査によると、在米日系企業が抱える経営上の課題(コスト上昇要因)として「労働者(一般社員、技術者)の確保」(69.0%)、「賃金(給与・賞与)」(65.6%)、「労働者の定着率」(46.3%)が上位に挙げられ、「関税の引き上げ(貿易制限措置)」(44.7%)を上回っている。

図 10分野の点数配分の推移(2010~2019年)

「労働力」で高い評価を得たバージニア州

2019年のCNBC調査でも、カテゴリー別に「労働力」や「教育」でそれぞれ1位の評価を得たバージニア州が総合首位となった。同州の25歳以上人口のうち37.6%(2017年)が大卒以上であることや、同州内雇用に占める科学・技術・工学・数学(STEM)分野の割合が8.9%(2018年)と、全米で4番目に多いことなどが評価された。

米シンクタンクのピュー・リサーチ・センターによると、数学関連職やコンピュータ・情報技術職といったSTEM関連職は、2014年から2024年にかけてそれぞれ28.0%、12.5%程度伸びると試算され、雇用が伸びると思われる職種の上位に位置付けられる。こうした職種の需要増に対応できることが企業を引きつける要素にもなるとみられる。電子商取引最大手アマゾンは2018年11月に、第2本社をバージニア州アーリントン郡に設立することを決めた(2018年11月15日記事参照)が、同社の公共政策担当バイスプレジデントのブライアン・フセマン氏は「バージニア州の人材、特にテック人材(の存在)に引かれたことが、最も重要だった」と述べた(「CNBCニュース」電子版7月12日)。

(権田直)

(米国)

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