アマゾン、第2本社をニューヨーク市とバージニア州北部に選定

(米国)

ニューヨーク発

2018年11月15日

電子商取引最大手のアマゾン(本社:ワシントン州シアトル)は11月13日、新設を計画している第2本社「HQ2」を、ニューヨーク州ニューヨーク市(クイーンズ区ロングアイランドシティー)と首都ワシントンに隣接するバージニア州アーリントン郡の2カ所に分散して設置することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

アマゾンは2017年9月に、同社が本社を置くワシントン州シアトルに加えて、第2本社を建設することを明らかにしていた。50億ドルを投じて5万人の雇用を創出する計画とされていたことから、各州政府はアマゾンを誘致するため、誘致合戦を繰り広げてきた。1年以上をかけて北米238の候補地を募り提案を受けた末に、アマゾンは優秀な人材を確保しやすく、公共交通機関が充実した大都市付近に本社機能を分散させることを決めた。

同社は、新本社それぞれに25億ドル投じて2万5,000人ずつを雇用する計画で、採用は2019年から開始するとしている。アマゾンの最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏は「これら2つの都市に本社を置くことで、世界に通用する優秀な人材を確保でき、今後の商品開発へとつなげていくことができるだろう」と述べた。

このほか、テネシー州ナッシュビルにも東海岸地域の物流を担う新たな配送センターを設立することを明らかにし、5,000人規模の従業員を新規に雇用する見込みだ。なお、各州政府による財政支援の詳細については、アマゾンがプレスリリースで紹介している。

近年は、アマゾンのように西海岸に本機能を置く大手テクノロジー企業が、急速なビジネスの成長とともに、東海岸に事業拠点を拡張する動きがみられる。多くのテック企業が集積する西海岸では、同分野の成長による地価や人件費の上昇などの背景から、人材の確保が激化している。グーグルも、東海岸での事業拡大に向け、ニューヨーク市で既存施設に加え、複数の商業不動産の取得・拡張計画を進めていることが明らかになり、同市内で現在の2.5倍の約2万人分の従業員スペースを確保できると報じられた(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版11月7日)。今後も、テクノロジー企業の急成長に伴い、米国内でイノベーションのハブが分散するとみられる。

(樫葉さくら)

(米国)

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