USMCA実施法案の米連邦議会審議は9月以降に持ち越し

(米国、カナダ、メキシコ)

ニューヨーク発

2019年07月30日

米国連邦議会では、現在有効である2015年大統領貿易促進権限(TPA)法が規定する法案審議過程に基づけば、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)実施法案の議会への提出は7月9日以降であれば可能となっていた(注)が、下院議会が7月29日~9月6日の夏季休会に入ったため、法案審議は9月以降に持ち越しとなる。

USMCAは2018年11月30日に、既に3カ国の首脳が協定文への署名を終えており(2018年12月4日記事参照)、現在は発効に向けて各国での批准待ちとなっている。現時点では、メキシコのみが6月19日に批准を終えている(2019年6月20日記事参照)。米国でも、トランプ政権、共和党、産業界を中心に、早期批准を望む声が強まっている。しかし、労働組合を主要な支持基盤とする民主党は、協定内容の一部に懸念が残るとしており、ナンシー・ペロシ下院議長(民主党、カリフォルニア州)は、それらが解決されるまでは法案審議を進めないとの姿勢を取っている。批准に向けた合意を図るため、民主党は、ロバート・ライトハイザー米国通商代表部(USTR)代表との間で、特に民主党が懸念を示す(1)薬価、(2)労働、(3)環境、(4)合意内容の執行の4分野にかかる作業部会を立ち上げて、協議を重ねている。同協議は議会の夏季休会中も続く見込みだ。

(注)USMCA実施に係る行政措置声明(Statement of Administrative Action)の草案は5月30日に議会に提出されており(2019年5月31日記事参照)、それから30日を経過し、休暇などを経て、上下両院に議員が戻る7月9日以降であれば、法案の連邦議会提出が可能とされていた。

(磯部真一)

(米国、カナダ、メキシコ)

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