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USMCA(新NAFTA)の協定文に3カ国首脳が署名

(米国、カナダ、メキシコ)

ニューヨーク発

2018年12月04日

米国のトランプ大統領は11月30日、G20開催地のアルゼンチン・ブエノスアイレスで、メキシコのペニャ・ニエト大統領、カナダのトルドー首相とともに、「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の協定文に署名した(注1)。

新協定は今後、米国では議会がUSMCA実施法案を審議する批准プロセスに移行する。2015年大統領貿易促進権限(TPA)法PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(注2)は、協定署名後60日以内に必要な現行法の改正内容を大統領が議会に通知することや、105日以内に新協定が米国経済に及ぼす影響に関する報告書を米国際貿易委員会(USITC)が大統領と議会に提出することなどを定めており、議会での批准は2019年1月3日に開会する第116連邦議会が担うとみられる。

民主党議員は一様に、労働者保護に関する条項の執行力の担保を政権に求めていく姿勢を示している。新議会で下院歳入委員会の委員長に就任すると目されるリチャード・ニール議員(マサチューセッツ州)は、署名後の最終版の協定文で、労働や環境保護の条項が執行可能なものになっているかを検証する外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、と述べた。下院議長に就任予定のナンシー・ペロシ下院少数党院内総務(カリフォルニア州)も「この協定は未完成だ」とし、同様に労働・環境条項の執行力担保外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを求めた。

上院でも、次期大統領の有力候補としても名前が挙がる民主党のエリザベス・ウォーレン議員(マサチューセッツ州)が、労働条項の執行力が十分でないとし、トランプ政権が再交渉を行わない限り、新協定の批准に反対票を投じる、と発言している(議会専門誌「ザ・ヒル」11月29日)。

全米最大の労働組合である米国労働総同盟・産別会議(AFL-CIO)も、「現状の協定では米国の労働者家庭の支持を得ることはできない」との声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。AFL-CIOは、航空や食肉加工、コールセンターなどのアウトソースを防ぐことや自動車原産地規則のさらなる強化などを求めている。

ロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は11月30日、民主党の要望を反映するため、複数の議員と議論を行っていると述べた(通商専門誌「インサイドUSトレード」11月30日)。政治専門紙「ポリティコ」(11月29日)は、トランプ政権が署名後に合意内容を大幅に変更する可能性は低い、とする一方、環境・労働者保護の基準や執行に関する新たな条項をUSMCAの実施法案に盛り込むことや補完協定を締結することで、民主党議員の要望を取り込むことはできるとの見方を示している。

なおトランプ大統領は、近日中に議会に従来の北米自由貿易協定(NAFTA)の脱退通知を出す、と発言している。NAFTA2205条外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、加盟国は他の加盟国に書面での脱退通知を出した6カ月後に、NAFTAから脱退できると規定している。トランプ大統領は「議会はUSMCAか、NAFTA以前(pre-NAFTA)かを選択することになる」と議会批准に圧力をかけた。

(注1)署名された最終版の協定文は、9月30日に公表された暫定版から一部記述が変更されている。最終版の協定文はUSTRのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(注2)米国憲法では、外国との通商関係は議会が管轄している。TPA法は、この通商交渉に関する権限を大統領に一時的に付与するもの。TPAが大統領に与えられている場合、議会に対する報告・相談義務など、TPA法に定められた目的や手続きにのっとって政権がまとめた通商協定法案は、議会で修正を受けずに賛否のみの採決に付すことができる。

(鈴木敦)

(米国、カナダ、メキシコ)

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