対アフリカ直接投資は3年ぶり増、非資源分野が好調

(アフリカ)

中東アフリカ課

2019年06月24日

国連貿易開発会議(UNCTAD)が6月12日に発表した「世界投資報告2019」によると、2018年の世界の対アフリカ直接投資(国際収支ベース、ネット、フロー)は前年比10.9%増の459億ドルだった。2015年(569億ドル)をピークに低下傾向にあったが、3年ぶりに増加に転じた。世界の対内直接投資は前年比13.4%減だったが(2019年6月14日記事参照)、アフリカ向け投資は資源、化学品が回復し、非資源分野の投資増と相まって増加した。

国別に見ると、最大の投資先はエジプトで、68億ドル(前年比8.2%減)だった。2015年に発見されたオフショアガス田の開発が活発化し、関連投資案件は12件に上った。南アフリカ共和国は前年比約2.7倍の53億ドルに増加した。グループ企業内の貸付金が最大要因だが、政府主導の投資促進計画(2018年11月1日記事参照)が追い風になった。3位のモロッコは36億ドル(35.5%増)で、金融、再生エネルギー、自動車産業など多様な分野で投資を受けた。エチオピアは域内4位の33億ドル(17.6%減)で、東アフリカで引き続き最大だった。6月に情報通信分野の開放が議会で可決され、同分野への投資も期待される。域内経済大国ナイジェリアは2年連続減少の20億ドル(43.0%減)だった。2019年の大統領選挙を前に投資が控えられたとみられる。

2017年の対アフリカ直接投資(残高)を見ると、投資元でフランスが2年連続の首位(640億ドル)となった。以下、オランダ(630億ドル)、米国(500億ドル)、英国(460億ドル)、中国(430億ドル)が続き、日本はトップ10に入らなかった。財務省統計によると、2018年の日本の対アフリカ直接投資(残高)は9,673億円で、前年比9%増となり、情報通信分野への投資が目立った。

UNCTADによると、2019年の対アフリカ投資には明るい材料が多い。資源市況が回復傾向にあって投資活発化が見込まれるほか、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)が5月30日に発効(注)したことで、製造業やサービス業への投資増も期待される。

(注)枠組み協定の発効。実質的な運用は2020年以降とみられる。

(山崎有馬)

(アフリカ)

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