5月のインフレ率は3.1%、3月から漸減

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年06月26日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は6月13日、5月の月間インフレ率(CPI上昇率)が3.1%と発表した。年率(過去12カ月の累積)では57.3%となる。月間インフレ率を項目別にみると、「医療・健康」(5.1%)と「住宅・光熱・その他燃料」(4.0%)の上昇率が高い。民間医療保険制度における医療費の引き上げや、ガス料金などの値上げが影響した。そのほかの項目では2.0~3.0%台となった(表1、2参照)。

表1 月間インフレ率の推移
表2 5月のインフレ率(年率)

アルゼンチン中央銀行のギド・サンドレリス総裁は記者会見で、5月のインフレ率は4月よりも0.3ポイント低下したものの、引き続き高水準にあると言及。2018年10月から進めてきた金融政策で、マネタリーベースの調整を通じたインフレ抑制に取り組んでいるものの、3月に生じたペソの下落と年初から行われている公共料金の値上げのため、インフレ抑制の達成に時間がかかっていると説明し、引き続き現在の政策を進めて行くとした。

ロイターの取材に対し、アルゼンチンの経済コンサル会社の専門家らは、5月のインフレ率の低下に関し、為替の安定や公共料金などの価格を据え置く経済社会政策の導入(2019年4月23日記事参照)といった要素が組み合わさった結果だとしている(「インフォバエ」紙電子版6月13日)。

なお、中銀が6月4日に発表した民間エコノミストらによる最新の経済見通しの集計中央値(REM)では、5月のインフレ率は3.0%と予測されていた。6月以降は2.0%台で推移するとされており、2019年末の見通しは年率で40.3%となっている(2019年6月11日記事参照)。

(高橋栞里)

(アルゼンチン)

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