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激化する米中貿易摩擦、強制的な技術移転をめぐる動向

(中国、米国)

中国北アジア課

2019年06月07日

米中政府は閣僚級の貿易交渉会合を5月9、10日に開催したが、合意できなかった。米国が問題と指摘する事項の1つに、「中国の強制的な技術移転政策」が挙げられている。

中国国務院新聞弁公室は、交渉決裂後の6月2日に「中米経済貿易協議に関する中国の立場外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。「交渉頓挫の責任は米国側にある」とする主張が展開される。米国側の「中国が知的財産権を『窃盗』している」「強制的な技術移転政策をとっている」との非難には、「根拠がない」と反論のコラムを設けている。

その中で、中国が知的財産権の保護を重視し、法体系を整備してきたことに触れつつ、中国企業と外国企業が市場の原則に従い、自由意思で技術協力を展開することを奨励・尊重し、「断固として強制的な技術移転に反対する」と述べている。

米国通商代表部(USTR)は3月1日に、通商政策に関する年次報告書である「2019年の通商政策課題と2018年の年次報告」を議会に提出した。報告書には、対中追加関税を、中国の米国企業に対する強制的な技術移転政策が確認されたことなどの結果として、発動したと記載された(2019年3月7日記事参照)。

米国は、2018年11月にUSTRが発表した、1974年通商法301条に基づく対中制裁措置に関する調査報告書の改定版で、「中国は資本規制などを一部緩和したものの、投資規制を利用して外国企業に技術移転を引き続き迫っている」「差別的なライセンス規制を維持している」など問題視してきた(2018年11月29日記事参照)。

中国は、強制的な技術移転政策をとっていないとしながらも、米国から継続的に寄せられる指摘に配慮した取り組みを進めた。3月15日に成立した外商投資法では、「技術協力の条件は、投資の各当事者が公平の原則にのっとり、平等に協議を行うことにより確定する」こと、「行政機関およびその職員は、行政手段を用いて技術移転を強制してはならない」ことが定められた(第22条、2019年3月20日記事参照)。

さらに、3月18日には技術輸出入管理条例を改正し「技術輸入契約の有効期間内に、改良した技術は改良した側に帰属する」との条項などを削除(2019年3月20日記事参照)。また、中外合資経営企業法実施条例を改正し、「技術移転協議書の期間は一般的に10年を超えない」「技術移転協議書の期間満了後も、技術譲受側は当該技術を引き続き使用する権利を有する」との項目を削除した。

技術輸出入管理条例の改正については、契約法、対外貿易法などに、米国が技術輸出入管理条例で問題視してきた内容と類似するものがあり、それらの改正があって初めて、実効性が担保されるのではとの指摘もみられる。実際の運用や関連法規の改正動向などを、今後注意していく必要がある。

(宗金建志)

(中国、米国)

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