米国、鉄鋼製品に対する関税率を50%から25%に引き下げ

(トルコ、米国)

イスタンブール発

2019年05月20日

米国は5月16日、トルコから輸入する鉄鋼製品の関税率を50%から25%に引き下げることを明らかにした。本措置は5月21日に発効する。

鉄鋼業界は好感も楽観視せず

米国は、トルコを一般特恵関税制度(GSP)対象国から除外すると発表すると同時に、トルコからの鉄鋼製品の輸入関税率を50%から25%に引き下げると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

米国は2018年3月にトルコを含む主要相手国からの同税率を25%に引き上げ、トルコも米国から輸入される22品目に対して報復関税を発表していた(2018年7月23日記事参照)。米国は2018年8月、トルコからの鉄鋼製品に対する税率をさらに50%に引き上げ、アルミニウム製品の税率を10%から20%に引き上げた(2018年8月13日記事参照)。

この追加措置は、同時期にトランプ政権が、トルコ政府により逮捕・拘束されていた米国人牧師ブランソン氏の解放を求めて圧力をかけていたことから、米国による実質的な経済制裁と受け止められ、通貨トルコ・リラは急落し、トルコ・ショックの引き金となった。

これに対して、トルコ側も22品目の関税率を2倍に引き上げるなど(2018年8月16日記事参照)、両国間の貿易摩擦の懸念が高まっていた。その後、牧師は解放されたが、鉄鋼関税率は修正されることはなかった。ただ、トルコの米国向け鉄鋼およびアルミニウムの輸出は、トルコの輸出総額からみれば全体の0.05%にも満たず、その影響は限定的で、市場は落ち着きを取り戻していた。

しかし、2018年の米国への鉄鋼輸出は前年比40.4%減と大幅に減少し、日系企業を含め、対米輸出が主力の関連企業への影響は大きかった。トルコ鉄鋼輸出業者協会(CIB)のウール・ダルベレル氏は「鉄鋼関税の低減については好感だが、重要なのは競争力で、現在進んでいる米国のメキシコとカナダとの交渉で両国からの鉄鋼輸入が無税とされれば、トルコに悪影響を与えるとみており、楽観視はしていない」(2019年5月20日記事参照)と述べている。

(エライ・バシュ、中島敏博)

(トルコ、米国)

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